相続税を「実家の活用」で大きく減らす方法

親の遺産が3600万円以上ある人は注目

では、モデルケースを見てみましょう。母がすでに他界、父が1人で評価額4000万円の土地(300m²)に、評価額1000万円の建物で暮らしていて、独身の1人娘は3年以上賃貸で暮らしているとします。しばらくして父が他界し、土地と建物、さらに父の預貯金1000万円に相続が発生した場合、娘はどれくらいの相続税を支払う必要があるでしょうか。

特例適用後の遺産総額は「土地4000万円×(20%)+建物1000万円+預貯金1000万円=2800万円」。ここから基礎控除額を引くと、「2800万円-(3000万円+600万円×1)=−800万円」です。遺産の総額が基礎控除額を下回るため、非課税となります。

では、仮に娘が結婚していて、夫名義の家に暮らしている場合はどうなるでしょうか。特例の適用はありません。つまり、遺産総額は「4000万円+1000万円+1000万円=6000万円」。ここから基礎控除額を引くと「6000万円−(3000万円+600万円×1)=2400万円」となり、2400万円に対して相続税がかかることになります。前述した速算表を基に単純計算すると、相続税額は「2400万円×15%-50万円=310万円」。特例の適用条件を満たしているかどうかで、相続税額は大きく変わることがわかります。

夫名義の持ち家暮らしで特例が使えない際の裏技

前述した条件に当てはまらない場合でも、空き家となっている家を賃貸物件として貸し出し、相続開始前から3年以上経過していれば、「200m²までの部分については50%まで評価額を減額する」ことができます。すでに、親が子どもの持ち家で同居しており、実家は空き家状態となっている場合は、第三者に貸し出すのも節税方法の1つです。

また、将来的に近隣の再開発などで評価額が上がる可能性の高い不動産に関しては、「相続時精算課税制度」を利用して、「生前贈与」しておくと節税メリットを享受できます。

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母もしくは祖父母から20歳以上の子どもや孫に財産を贈与する際に、2500万円までの特別控除が受けられる制度です。

この制度を適用後に相続が発生した場合、生前贈与時の評価額が遺産の総額に加算されます。そのため、将来的に評価額が上がる可能性の高いエリアの土地や、毎年収益が見込める賃貸アパートなどの不動産は生前贈与しておくことで、節税メリットを受けられる可能性が高いのです。ただし、先に説明した「小規模宅地等の特例」とは併用できませんので、注意しましょう。

このように、遺産の中でも金額の大きい不動産も、さまざまな特例の利用で節税効果が期待できます。万が一、相続が発生した場合に備えて、今一度、所定の条件に該当するかを確認してみてはいかがでしょうか。

(取材協力:中村太郎税理士事務所)

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