「子育てと仕事」の両立、働く男女の悩みと本音 当事者や一緒に働く同僚の「意識と実態」
女性の有業率とともに、共働き夫婦の割合も増加しています。1990年代には共働き世帯数が専業主婦世帯数を逆転し、2017年には共働き世帯数(1188万世帯)が、専業主婦世帯数(641万世帯)の1.85倍に達しています(内閣府「平成30年版男女共同参画白書」を基に算出)。
実際に明治安田生活福祉研究所「男女交際・結婚に関する調査」(2017年)によれば、25~34歳の女性では、既婚(既婚者は結婚した際の意識について回答)・未婚ともに、「共働きをしてもかまわない(と思った)」割合が約8~9割と高くなっています。
一方で25~34歳の男性においても、結婚後の世帯収入を支えるために結婚相手に「共働きを期待する(した)」割合は、既婚男性(既婚者は結婚した際の意識について回答)・未婚男性ともに約8割で、結婚する際に共働きしてもらうことを期待していることがうかがえます。
勤務先の制度に充実を望むことは?
現在働いている25~44歳の既婚者に、子育てと仕事を両立させていくうえで、勤務先などの制度に充実を望むことを尋ねたところ、男性では「扶養手当等の支給」が、子どもがいる既婚者35.3%・子どもがいない既婚者31.9%とともに最も高くなっています。次いで、「保育料補助等の支給・増額」、「子育てのための勤務時間・勤務日数の短縮措置等」、「年次有給休暇以外での休暇付与」が各々約3割と続きます。
一方で、女性では男性と異なり、「子育てのための勤務時間・勤務日数の短縮措置等」が、子どもがいる既婚者53.2%・子どもがいない既婚者46.0%とともに最も高くなっています。これは、子育てをしながら働く女性の時間的な負担の大きさを表しています。
次いで、子どもがいる既婚者では「保育料補助等の支給・増額」が33.1%、子どもがいない既婚者では「育児休業の取得可能期間延長」「保育料補助等の支給・増額」「育児休業期間中の一定程度の給与等の支給」「優先的に預けることのできる保育所等の確保」「在宅勤務制度」が約3割とほぼ同じ水準で続きます[明治安田生活福祉研究所「出産・子育てに関する調査」(2018年)]。
次に育児休業・時短勤務についての職場の人の意識もみてみましょう。
正社員または非正社員として仕事をしている25~44歳の既婚者・未婚者に、「育児休業中や子育てで時短勤務中の社員の仕事について自分が担当することになった場合の気持ち」を尋ねました。
「持ちつ持たれつだから当然」と思う人の割合は、男女ともにおおむね年齢層が若いほど高く、また家族形態別では子どもがいる既婚者が最も高く(20代後半男性62.8%・女性70.2%、40代前半男性61.7%・女性55.7%)、子どもがいない既婚者(20代後半男性58.4%・女性50.8%、40代前半男性45.3%・女性33.1%)、未婚者(20代後半男性45.7%・女性42.5%、40代前半男性35.4%・女性28.6%)と続きます。