東大とファーウェイが「微妙な関係」にある理由

オックスフォードに続き資金支援見直し検討

アメリカ司法省がファーウェイや孟晩舟副会長(創業者・任正非氏の実娘)を対イラン不正取引や企業秘密の窃取などで起訴したと発表した際、輸出管理を管轄する商務省のトップが発表会見で「安全保障上のアメリカの利益を守るために、制裁措置と輸出管理を確実に実行する」と述べている。国際法務の専門家は、アメリカがファーウェイに禁輸措置を講じる条件はすでに整っていると指摘している。

2つ目は、昨夏制定された2019年度国防権限法(NDAA2019)で、ファーウェイなど中国企業5社がアメリカの政府調達から段階的に排除されると定められていることだ。2020年夏以降は、ファーウェイなど5社そのものだけでなく、これら企業の製品を利用している企業・団体も、アメリカの政府機関と取引できなくなる見通し。

これが発効すれば、ファーウェイ製の機器を使用している大学は、DARPA(国防総省高等研究計画局)やDOE(エネルギー省)といったアメリカ政府の研究資金が獲得できなくなるおそれがある。

3つ目は、国防権限法に盛り込まれる形で新たに、輸出管理改革法(ECRA)が成立していることだ。これは安全保障にとって重要だが、これまで管理できていなかった新興技術にも規制をかける内容。AI(人工知能)や半導体といった技術を念頭に置いており、対象となった技術は既存の輸出管理規則と同様、アメリカからの輸出と、日本など外国からの再輸出が制限される。

ファーウェイが3月7日(日本時間)、国防権限法が憲法違反であるとしてアメリカ政府を相手取った訴訟を起こしたのは、国防権限法がこのまま発効すれば販売活動だけでなく、研究開発を含む広い範囲に大きな打撃があるからだ。

研究成果は製品に導入

ファーウェイの孟副会長はアメリカ司法省に起訴される直前の1月下旬、日本経済新聞に寄稿し、「オックスフォード大学がファーウェイの資金援助を今後受けないと決定したことは知っているが、われわれの目的は研究者たちの成功や失敗から学ぶことだ」とし、研究現場への支援は知的財産や先端技術の獲得が目的ではないと主張している。

ただ実際には、支援した研究成果が製品に採用され、ファーウェイの競争力に貢献している面がある。上記の寄稿文の中でも、支援先の成果を自社製品に活用した事例を挙げている。アメリカはファーウェイなど中国企業が自国から強制的に技術移転していると考えており、研究支援も技術移転戦略の一環として警戒しているようだ。

一方、輸出管理規則などアメリカの国内法規が日本など海外にも域外適用されることは、以前から国際法の議論の対象となってきた。再輸出規制を導入している国は、世界でもアメリカしかない。ただアメリカ由来の技術が世界の研究開発の基盤となっている以上、今後の展開によっては、さらに多くの大学や企業がファーウェイとの関係を見直す可能性がある。

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