東大とファーウェイが「微妙な関係」にある理由 オックスフォードに続き資金支援見直し検討
具体的にどういった施策や要請を想定しているかについては、「一般論として、日本の安全保障貿易管理制度における具体的な規制などの要請などがあれば対応する」としている。またアメリカのファーウェイに対する措置についても、「再輸出規制(注・後段に詳細)については調査しており、必要に応じて配慮している」と回答している。
東京大学は2018年、学内の工学系研究科、新領域創成科学研究科、生産技術研究所の各研究室とファーウェイとの間で共同研究を行うことを検討していた。これらの共同研究が実際に行われたかどうかは、東洋経済では確認できていない。
また7大学(北海道大学、東北大学、東京工業大学、京都大学、大阪大学、慶應義塾大学、早稲田大学)は、個別企業に関する情報開示は控えると回答。「提供元の利益を損なうおそれがある」(京都大学)、「委託者や寄付者の保護の観点」(早稲田大学)などを理由に挙げている。
ただこのうち東京工業大学や慶應義塾大学など複数の大学については、過去の公開資料の中で、ファーウェイとの共同研究や研究に必要な物品の提供などの支援があったことが判明している。
以下の11大学・機関は、ファーウェイから資金を提供されたことはないと回答した。筑波大学、東京医科歯科大学、名古屋大学、豊橋技術科学大学、神戸大学、広島大学、九州大学、熊本大学、奈良先端科学技術大学院大学、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構。
日本が知るべき3ポイント
なぜ世界の研究現場がファーウェイを回避し始めているのか。3つの理由がある。
1つ目は、アメリカ政府が今後ファーウェイに対し、輸出管理規則(EAR)に基づく禁輸措置を講じる可能性が相当あることだ。これは主にデュアルユース品目と呼ばれる軍需・民需双方に使われる技術・製品が、安全保障・外交上の懸念先に活用されることを制限するルール。懸念先に対してはアメリカからの直接輸出だけでなく、日本など外国を経た再輸出も制限する。大学や企業、個人が広く規制の対象となる。
この再輸出規制は非常に厳格で、日本国内で行っている研究開発であっても、懸念先がからむ場合は、対象となるアメリカの技術・製品を使えば事実上の再輸出とみなされる。再輸出を行った場合は、アメリカの政府・企業との取引ができなくなる。
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