ジャカルタ地下鉄、今月開業へ「見切り発車」? 走りは順調だが駅へのアクセス道路は未完成

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日本大使館の向かい側の地上出入口から地下に潜ると、構内は日本とシンガポールの地下鉄の折衷のような雰囲気だ。

自動改札機。形は日本のものに似ている(筆者撮影)
改札内の乗り越し精算機。券売機も、日本ではなじみのないこのタイプだ(筆者撮影)

シートがかかったままの自動改札機は、日本でよく見られる磁気券に対応可能な大型のタイプであるが、実際はICカードを読み取る機能しか付いていないというチグハグさが面白い。

券売機は近隣諸国でもよく見られる、中国製の四角い銀色のタイプである。券売機にも電源は入っておらず、駅関係のシステムの調整はこれから1カ月の間に行うようだ。

なお、当駅の工事自体はおおむね完了していると見えるが、バスウェイ(バス高速輸送システム)との乗り換え口は3月末には間に合わないだろう。コンコースからホームへさらに階段を降りると、案内サインのデザインなどから、やはり、どことなくシンガポールの雰囲気を感じる。

快適性は日本の地下鉄が上

しかし、スクリーンドアの向こうに入ってきた列車は日本の通勤電車そのものである。ただ、座席は当初のモケットからFRP(繊維強化プラスチック)製に変更されてしまっている。これも発注者たるMRTJ幹部の意向とはいえ、残念だ。

車内の様子。優先席付近のつり革が黄色いなど、日本との共通点も 見られる一方、座席はFRP製。床はまだ養生されている(筆者撮影)

乗車すると車内の床が養生シートで覆われているのが目を引くが、これはまだ車両がメーカーからMRTJに引き渡されていないからである。そのため、インドネシア運輸省による試験が実施されていないのか、営業許可証も添付されていなかった。

列車はATO(自動列車運転装置)によるワンマン運転だ。試運転とはいえ、当初から信号と実際のダイヤに従って行っているのは、さすがは日本品質である。

ただ、前評判では「静か」とか「揺れない」と言われていたが、はたしてそうだろうか。揺れないのは事実だが、静かさに関して言えば、スラブ軌道から発生する特有の反響音で、お世辞にも日本の地下鉄より快適だとは言えない。高架区間に入っても、防音壁があるわけでもない。

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