株価は「過度の楽観」で今後さらに深刻になる 実態以上に戻り過ぎた「代償」を払う時が来る

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アメリカ株式市場の物色をみても、「懲りない物色」が進んでいるようだ。2月28日付のブルームバーグニュースによれば、ヘッジファンドは投資先の集中化を進めており、ゴールドマン・サックスの調べによると、ヘッジファンドが多く保有するトップ10銘柄は、ファンドの買いポジションの7割を占めているという。そのトップ10銘柄に多く見る銘柄名は、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブック、アルファベット(グーグル)、アリババだそうだ。こうした「花形銘柄」への物色の行き過ぎは昨年9月までの局面もみられ、そのしっぺ返しが10月以降に起こったのだが、また同じことを繰り返すのだろうか。

このような行き過ぎた楽観がさらに行き過ぎているのは、株式市場だけではない。アメリカの社債市場では、一時売り込まれていたジャンク債(低格付け債)やBBB格債などが、再度買い戻されている。諸報道によれば、すでにリスクを避ける時期は終わったとして、投資家が高めの利回りを求めて買い進んでいるという。

さらには、CLO(Collateralized Loan Obligation、ローン担保証券)と呼ばれる、低格付け企業への貸し付けを証券化した商品に、金融機関が買いを進めた模様で、高リスク投資に突き進んでいる点は、危うさばかりを感じる。やはり2月28日付のブルームバーグでは、日本の金融庁はすでにこうしたCLO投資に警戒を抱いており、1月にはメガバンク3行や農林中央金庫などに、CLO調査に関する一斉調査を実施していたという。

米中通商交渉が変化、さらに対日はどうなる?

こうした様々な市場の楽観の行き過ぎの背景には、「米中通商交渉の進展期待」という使い古された呪文が何度も唱えられた、という面もあるだろう。これ自体、仮に通商交渉が穏当に決着したとしても、アメリカが2000億ドルの対中輸入について、10%の関税を25%に引き上げることを止める、というだけのことであって、すでに発動した関税を取りやめる、ということにはなるまい。その点で、行き過ぎた楽観だと言える。

ところがこの「通商交渉の進展期待」という呪文が、どうも怪しくなっているようだ。当コラムでも何度か述べたが、米政権内はスティーブン・ムニューシン財務長官らの対中穏健派と、ロバート・ライトハイザーUSTR代表らの対中強硬派に分かれている。足元は、ドナルド・トランプ大統領は穏健派に与していたようにみられる。おそらく、12月の株価下落で大統領はおろおろとおびえ、「早く何でもいいから、対中交渉をまとめよう」と恐れをなしたのではないか。

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