井原正巳、柏の「J1復帰」へ譲れないポリシー 「ピッチで100%やらない選手は使えない」

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井原 正巳(いはら・まさみ)/サッカー指導者。J2・柏レイソルヘッドコーチ。1967年滋賀県生まれ。筑波大学時代からサッカー日本代表として活躍。1998年には日本をW杯初出場に導いた。2002年に現役引退。A代表キャップ数122は歴代2位。2009年に柏レイソルのヘッドコーチ就任、監督代行も務めた。2015年から2018年までアビスパ福岡の監督。2018年12月より現職(東洋経済オンライン編集部撮影)

その森保ジャパンは3年後の2022年カタールワールドカップでの8強入りを目指している。井原氏が日の丸を背負っていた時代から20年あまりの間に日本サッカー界としてさまざまな経験値も養われ、それを有効活用できる環境になったのは大きい。

ただ、アジアにいる日本には世界で勝つための難しさもある。そこは、かつての日本代表キャプテンも指摘する点だ。

「1998年フランス大会から6回のワールドカップを経て、日本サッカー協会も準備やキャンプの仕方、ピークの持っていき方などいろんなノウハウができました。

実際、カズさんが落選したときは事前キャンプに多くのメンバーを連れていって現地で外れる人を決めるやり方でしたけど、今は練習要員として年代別代表の若手を連れていったりしてますから。本大会8強というのは、そういうディテールの積み重ねの結果。日本はかなり近いところまでは来ていると思います。

ただ、一方で日本はアジア予選を勝ち上がらないといけない。アジアと本大会は違う難しさがあるので、そこをどうしていくのかがテーマでしょう。加えて言うと、森保監督には2つの代表を掛け持ちしている大変さもある。彼ならうまく乗り切ってくれるんじゃないかな」と井原氏は期待を寄せた。

J1復帰に向けた今シーズンの柏レイソルにも注目

そうやって日々進化する日本サッカー界の中で、彼は指導者として自己研鑽を続け、柏レイソルをJ1復帰へと導こうとしている。2月24日のJ2開幕・レノファ山口戦を2-1の逆転勝利し、続く3月2日の町田ゼルビア戦も1-0と2連勝という最高の滑り出しをみせたチームがこの先、どうなっていくのか。井原ヘッドコーチの動向とともに注目していきたい。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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