日本の製造業で最初に復活するのがソニーだ--中鉢良治・ソニー社長
世界的な消費減退と円高の打撃を受け、2008年度業績が急激に悪化する見通しのソニー。国内外1万6000人の削減と工場集約、投資見直しを柱とするエレクトロニクス事業の立て直し策を決めた中鉢良治社長が回復への展望を語った。
--大規模リストラを伴う厳しい立て直し策となった。
急激な需要減と為替によって低下した収益力を立て直し、グローバルな企業と競争するにはどうしたらよいか考えた結果だ。そのためには運転資金の効率を上げ、損益分岐点を下げるしかない。これまでは、固定費を十分に下げないままに拡大路線をとってきた感があり、秋以降に急激に需要が落ちてそれが露呈した。今後も急激な(需要と為替の)回復が期待できない以上、当面はスリムダウンが必要と判断した。
--投資見直しでは、シャープとの液晶パネル生産合弁も対象か。需要見通しが厳しく、出資比率の引き下げも検討できたのではないか。
それは仮定の話でもありえない。3分の1をソニーが出資することは変わらない。シャープが世界で最も(価格)競争力がある設備を作るというのだから、そこから調達するのが基本だ。ただ、(パネルの)価格が高くなるなど前提が変わるならダメだ。今はこの点について、両社で条件を詰めている。
--05年の就任時に、メークマネー(利益)と社員の心のV字回復が使命と明言した。
今はメークマネー(が重要)だ。
--03年から6年間で三度目のリストラとなった。組織へのダメージにならないか。
何とも答えにくいところだ。最大規模となった初回のリストラでもコスト構造を改善するには至らなかったため、05年の新経営体制で事業の選択と集中、間接部門へのリストラ拡大と工場再編をやった。今回危機に瀕しているのは需要減と為替によるもの。海外で強いのはソニーの資産だが、結果として円コストの効率性が必ずしも盤石ではなかった。今回のリストラでは、モノの生産性だけでなく、(販売サービスや間接部門などの)業務の生産性も効率を上げなければならないと考えている。
--08年度業績を左右するクリスマス商戦の状況は。
10~12月期がどうまとまるかはまだわからないが、ブラックフライデー後も少し鈍っている。日本やインドなどは比較的影響が小さいが、北米と欧州の落ち込みが大きい。ただ、こういう環境でもソニーが日本の製造業で最初に復活することを目指し、改革に取り組んでいる。
(杉本りうこ 撮影:梅谷秀司 尾形文繁 =週刊東洋経済)
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