強敵?JR東海「テキサス新幹線」に新たな挑戦者 ヴァージンUSA、親会社はソフトバンク
民間としては、およそ30年ぶりに都市間の旅客列車を運行するというブライトラインのアグレッシブな経営姿勢はヴァージンと共通する部分がある。鉄道の事業領域を広げたいと考えていたヴァージンは、ブライトラインと手を組むのが得策と判断した。一方でブライトラインはヴァージンの高いブランド力や鉄道運行のノウハウはアメリカでも生かせると考えた。
ブライトラインへのヴァージンの出資比率はマイナーにとどまったが、ブライトライン側はヴァージントレインズUSAと社名変更するほどのほれ込みようだった。さらに、2019年中に列車や駅などもヴァージンブランドに変更する計画だ。
なお、同社は株式公開して約5億ドルの資金調達を行う予定だったが、今月に入って中止となった。現地報道によれば、同社に大口の投資があり、株式市場から資金調達を行う必要がなくなったからだとされている。
ヴァージントレインズUSA(以下、ヴァージン)は、フロリダおよびラスベガスでの鉄道に加え、さらなる将来戦略として、距離にして300~500kmの「車では遠すぎるが、飛行機では近すぎる」という区間に狙いを定めた。フロリダのように既存の線路も活用しながらできるだけ安価に鉄道運行をしたいという。
テキサス新幹線はいつになる?
さて、ダラス―ヒューストン間に話を戻す。同区間は「テキサス・セントラル・レイルウェイ(TCR)」という民間会社が、新幹線方式を前提に新線を建設する計画を進めている。実現すれば、最高時速330kmの走行性能を持つ「N700-i」が走行し、同区間は90分で結ばれる。JR東海も2016年にTCRに技術支援を行う会社を現地に設立するなど、「テキサス新幹線」の実現に全面協力している。
TCRは「早ければ2019年にも着工できる」としている。しかし、JR東海は「2019年の着工とは、あくまで2017年12月時点の情報に基づくもの」と説明する。つまり、現時点で年内に着工できることが確定しているわけではない。
現在は、アメリカの当局による環境影響評価の最終段階。認可が下りた後は、120億ドル(約1兆3200億円)の事業費をどのように調達するかが鍵となる。
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