通信ソフトから転戦、ACCESSが「ゴルフ」へ 新ビジネスは事業再構築を牽引できるか
ところが、従来型携帯の衰退とスマホの普及で状況は急変。携帯向けのブラウザソフトから得られるライセンス収入が急減した。11年にはポストブラウザとして注力していたプラットフォーム事業からも撤退。人員削減を含む構造改革を実施し、共同創業者の鎌田富久氏は同年10月、社長を退任した。
こうした逆境下だからこそスタートしたのが、フルミエルの開発だ。同事業を率いるスマートセンサー事業推進室の山田淳一室長は「上司からモーションセンサーを活用したアプリを開発できないかという話があった。ゴルフ好きとしての経験を生かして、すぐにビジネスモデルを描き上げた」と振り返る。
バット、ラケットへも
完成した試作品を12年2月のジャパンゴルフフェアに出展したところ、ブースは大盛況。集まった業界関係者の受けもよく、商用化を決定。まず13年1月にアンドロイド版、7月にiOS(アイフォーン)版を投入した。
初年度の販売台数は約2万。ゴルフの練習器具は年間1万台も売れれば大ヒットといわれるだけに、大健闘といえる。狙っていた市場は確実に存在した、ということだ。
しかし、山田室長は満足していない。目指しているのは多くのユーザーのデータをつなげることで実現するクラウドサービス。その真価を発揮するには、稼働台数が少ないからだ。
「有償サービスを使うユーザーが全体の2割とすると、5万、10万単位のユーザーにならないと成立しない。ゴルフ系メディアとの提携などを進め、ユーザー増を目指したい」と話す。
アクセスには通信関連の技術者が多くおり、高度な情報処理、履歴管理はお手のもの。野球のバットやテニスのラケットなど、その他の“振る”ものへのシリーズ展開も視野に入っている。
携帯ブラウザ中心だった事業構造からの脱却を目指し、さまざまな新事業に挑むアクセス。フルミエルは意外な活路になるかもしれない。
(12月16日発売の週刊東洋経済2013年12月21日号核心リポート04)
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