「24時間営業やめた」ファミマ店主が得た気づき 月10万円の「24時間手当」は失ったけども
一方、売り上げは5%ほど減った。
「深夜の売り上げがなくなったのはもちろんですが、早く閉めるようになったことで、終わりと始まり1時間(=0時台・6時台)のお客さんも減りました。やはり店が開いていない可能性を考えるんでしょうね」
時短初年度、月10万円の補助金がなくなった分、自身の報酬は減った。しかし、補助金を除いた収益はむしろ増えたという。
油断ならない競合店の出現
競合店が出づらいということも時短営業に踏み切った理由だった。京都市の「風致地区」制度の都合で、周囲の開発は難しい。1キロほど西に建設予定だった他チェーンのコンビニが、住民の反対で計画白紙になったこともあったという。
ところが、時短2年目の2018年6月、長谷川さんの店から500メートル圏内に24時間営業のセブン-イレブンができた。
「お客さんとしては、真夜中の買い物ならセブンに行きますよね。それが日中にも影響するなら、24時間に戻さないといけないと考えていました」
今のところ、影響は大きくないそうだが、状況はつねに注視している。
「営業目標はクリアしているので、時短にしてよかったです。ただ、うちは『実験店』なので、営業時間は1年ごとに見直す契約。今のところ、自発的に戻すことはないと思いますが、状況によってはまた24時間になる可能性はゼロではないですね」
長谷川さんは条件がそろっていたからこそ、時短がうまくいったと考えている。
「24時間をやめたら何でも解決するわけではないと思います。自分も楽、バイトも楽だけど、売り上げが激減となったら、生活できなくなります。とくに繁華街にある店は、24時間をやめたら苦しくなるかもしれません」
とはいえ、90年代や2000年代ならともかく、コンビニの飽和が指摘され、人手不足が深刻化する現在においては、24時間を維持するかどうか、店側の「経営判断」に委ねるという考え方はありえるはずだ。
なお、ファミマ広報に時短店舗の数などを尋ねたが、「実験段階のため公表していない」とのことだった。
(取材・執筆:弁護士ドットコム編集部・園田昌也)
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