「24時間営業やめた」ファミマ店主が得た気づき 月10万円の「24時間手当」は失ったけども
「すんなりオッケーになったわけではないんですよ。エリアの責任者がやってきて、いろいろとやり取りしました。診断書のほか、時間ごとの売り上げデータも出して、売り上げが減った分は昼間頑張ってカバーします、という話もしました」(長谷川さん)
長谷川さんは「自分の店は条件がそろっていた」と話す。
店が大学の前にあり、夜はほとんど客がいなかった。時短について、地域住民からのクレームもなし。「働き方改革」の動きも追い風だった。
加えて、長谷川さんのコンビニオーナー歴は30年以上。本部との信頼関係があったのも大きかったと振り返る。
実際の時短営業はどんなオペレーションになっているのだろうか。
「夜のスタッフは、閉店時間の5分後には店を閉めて、退勤しています。早朝は、開店5分前の5時55分出勤ですね」
長谷川さんの店には、最後の配送が夜0時ごろに到着する。スタッフはそこから品出しをしつつ、閉店準備も進める。早朝のスタッフは、カギさえ開ければ営業できる。
この方法だと、売り場が品薄だったり、清掃が行き届かなかったりということもない。
「配送ルート的にうちは調整しやすかったのかもしれません。閉店後に届くようなら、カギを渡してバックヤードに置いてもらおうとも考えていましたが、営業時間内なので助かりました。閉店後に届く雑誌類は、倉庫に入れてもらっています」
なお、大手コンビニでも24時間ではない形態として、病院や企業ビルなど施設内の「サテライト店」がある。閉店後、施設内の大型冷蔵庫などに納品してもらっている店もあるそうで、「受取人なし」には実例がある。
売り上げは減ったけど
深夜営業は人が集まりづらいだけでなく、深夜割増があるので人件費もかかる。最低賃金が上昇する中、時短営業にすることで、人件費は前年よりも減ったという。
「ただし、5時間分丸々浮いたわけではないんです。これまで深夜のスタッフには、清掃や惣菜用フライヤーのメンテナンスなどもお願いしていました。その分の作業は、夜を増員してやってもらわないといけない。それでも人件費は前年比10%減りました」
規模にもよるが、コンビニは月間で100万円前後の人件費がかかる。10%減はかなり大きな金額だ。
さらに、深夜をなくしたことで、食品の廃棄も減った。夜食需要を見込んだ仕入れを大幅に減らしたのだ。コンビニ業界では、売れ残りの仕入れ代は店舗負担だから、コスト削減につながった。