年収500万円でもOK、「2拠点生活」の実現法

発想と工夫で「二重の住宅費」は克服できる

奈良県で生まれ育った福島さんにとって、青春時代に身近にあったのが「川」だった。高校時代、バイクでよく奈良県南部の吉野川に繰り出し、友達と川遊びをした。「その原体験があるから、大人になったら自然の近くに住みたいという思いがずっとあった」(福島さん)。

就職して上京し、結婚してからも、その思いは変わらなかった。東京都心で営業の仕事に従事しながら、週末になると山梨や群馬へキャンプに出掛け、田舎暮らしに思いを馳せた。

そうした中、結婚して子どもが産まれ、住み慣れた東京・三軒茶屋で家を買うことを決めた。仕事は都内でアパレルのインターネットショップの営業をしている。自宅は職場に通いやすい三軒茶屋がいい。一方で、そこで一生暮らすかはわからない。「つねにフットワークが軽い状態にしておきたかった」(福島さん)。そこで、なるべく安く買って、高く売れる物件を意識して探した。

自宅購入と同時に「売り時」を意識

人気エリアの東京・三軒茶屋でも、駅から遠ければ売却しにくくなる。こだわったのは、「駅徒歩5分以内」の物件だ。見つけたのは築31年、広さ50平方メートルというマンションの一室。三軒茶屋から徒歩5分以内という好立地ながら、2480万円で売りに出されていた。

ただ、福島さんはすぐには手を出さなかった。値が下がるタイミングを待つと、2011年に東日本大震災の影響で不動産市況が冷え込み、物件を手放したいオーナーが500万円値下げし、1980万円で売りに出した。「今が買い時」と即決。2011年夏、住宅ローンを組んで購入した。

マイホームを手に入れたものの、福島さんがすぐに意識したのは「売り時」だ。「第2の拠点」を求めていた福島さんにとって、都会の自宅は賃貸でも構わなかった。むしろ高値で売れれば、その差額で田舎暮らしの拠点を購入できる。そう考え、売り時を見極めていると、不動産市況が回復した2017年、2500万円で売却できた。ローンの残りを差し引くと、780万円分の利益が出たという。

そのお金で、福島さんは自然豊かな、地方の「第2の拠点」探しを始めた。すると知人が千葉県いすみ市で、築46年の古民家が売りに出ていると教えてくれた。行ってみると川に近く、庭も広く、希望にぴったりの物件だった。建物は老朽化しており、壊して更地にする前提で、価格は700万円。だが、福島さんにとっては古民家の味わいも魅力。「壊さなくていいから値下げしてほしい」と売主に掛け合った結果、600万円まで値下げしてくれた。

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