まずは、米国の株式市場に注目しなさい 松本大が団塊ジュニアに勧める、とっておきの投資術(1)
では、何が関門なのでしょうか。それは、
(1) 2007年2月26日の1万8300円
(2) 2000年4月12日の2万0833円
(3) 1996年6月26日の2万2750円
(4) 1991年3月18日の2万7270円
の、4つの株価です。これらが何を意味しているのかというと、大きく下げた後の戻り高値の水準なのです。この4つの株価を超えて初めて、日経平均株価は1989年12月29日に付けた過去最高値を更新する可能性が出てきます。ただ、それにはまだかなりの時間を必要とするでしょう。
一方、米国の株価は、ことニューヨーク・ダウに関して言えば、大きく下げた後も比較的、短期間のうちに過去の最高値を更新してきています。直近で見ても、ITバブル崩壊前につけた高値を抜いたのは、その約6年後ですし、サブプライムローンショック前の最高値を抜いたのは、その5年半後でした。ちなみに1987年10月に起こったブランクマンデーの場合は、何と1年10カ月で高値を更新してきています。
世界の投資マネーは、再び米国を目指す
なぜ、米国の株価は大きく下げた後も、比較的短期間のうちに高値を回復してくるのでしょうか。
そのうえ、200年以上の長期にわたって株価が最高値を更新し続けています。
要因のひとつとして、米国の企業経営者が常に株価を意識して経営にあたっていることがあげられます。米国のような資本主義の世界では、株主の立場が尊重されます。そのため企業経営者は、株式の価値を少しでも高めようとして、不断の経営努力を積み重ねます。直近10年で、ダウ指数採用銘柄の合計配当金の推移を見ると、対前年比で減少しているのは2009年だけです。
こうしたことからも、米国の企業経営者が株主のことを尊重しながら経営にあたっているかということが、見えてきます。
世界には、さまざまな投資対象国・地域があります。少し前までは、中国などの新興国が、投資の世界で非常に高い注目を集めていました。しかし、どれだけ多くの投資対象国・地域があろうとも、世界の投資マネーは、米国を目指すことになると考えられます。
米国以外の主要国や地域を見ると、米国の優位性がわかります。まず日本は、確かに今、株価が上昇局面に入ってきていますが、少子高齢社会の影響で人口が減少傾向にあるため、国内需要は今後、先細りになる恐れがあります。そうなると日本は、今後も輸出に頼らざるを得ず、経済を自国内で完結できるようにするのは難しいのではないでしょうか。
では新興国はどうでしょうか。例えば中国では、最近は一人っ子政策の弊害が顕在化しています。また、インドが先進国経済の域に達するには、まだ相当の時間を必要とするでしょう。
一方、欧州は債務危機の問題を引き摺っており、ユーロという単一通貨を用いた経済圏を維持していくうえで、今後も難しいかじ取りを迫られそうです。
こう考えていくと、資本主義の考え方が根付き、人口が増加傾向にあり、世界でも最高水準の教育システムを持っている米国は、やはり世界最大の資本主義国です。、その株式市場に世界の投資マネーが集まるのは、自然のことだと考えられます。
諸制度が整ったことで、米国株は驚くほど簡単に投資できる。これから本格的な資産形成を考える団塊ジュニアの世代はもちろん、投資を真剣に考える個人投資家にぜひ読んでいただきたい、米国株入門書です。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら