トヨタ自動車は販売減と円高で今期は初の連結赤字転落、来期も赤字脱却は至難

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トヨタ自動車は販売減と円高で今期は初の連結赤字転落、来期も赤字脱却は至難

トヨタ自動車は、今2009年3月期業績予想を下方修正した。営業損益は1500億円の赤字と、連結べースでは初の赤字転落となる見通しだ。業績修正は「トヨタ・ショック」と言われた11月初旬の営業利益1兆円減額に続き2度目で、わずか1カ月半で見通しを変えた。

08年4~9月期営業損益は5821億円の黒字だったから、下期の赤字額は7321億円。いかに急激に悪化したかがわかろう。前08年3月期実績と比べた営業損益増減のマイナス2大要因は、「販売減」と「円高」である。うち販売減は1兆1800億円のマイナス、円高は8900億円のマイナス要因となった。

今期販売計画は754万台で、前期実績の891万台からは15%減。最大市場の北米で27%減、欧州でも19%減、国内も8%減まで落ちこみそうだ。為替は12月以降の前提レートを1ドル90円、1ユーロ120円まで見直したため、前期の1ドル114円、1ユーロ162円から、いずれも大幅な円高となる。なお営業損益では赤字だが、受取配当金増や中国持分法会社の利益増などを受け、最終損益では黒字を維持する。

初の営業赤字転落を受け、米国ミシシッピ工場の2011年以降への稼働延期など、「能力増強プロジェクトを全て延期する」(渡辺捷明社長)方針だ。国内外53工場では、75ある生産ラインのうち16ラインを、昼夜交代の2直体制から昼のみの1直体制へと変える。期間従業員も今期末には前期末比3分の2減の3000人へと減らす。役員賞与をゼロにし、通期配当も初の減配になる公算が高い(前期140円配)。

注目されるのは来10年3月期だ。会社側は設備投資を償却範囲内の1兆円以下に抑えるなどして(今期見込み1・4兆円)、「気持ちとしては今期を底に業績を上げたい」(木下光男副社長)と、どうにも歯切れが悪い。だが足元の11月の米国新車販売は前年同月比33%減と底ばいが続いており、自動車市場の回復は当面見当たらないのが実状である。

「東洋経済オンライン」としては、来期も上期中は赤字が続き、下期から固定費圧縮など一連のコスト削減効果が表れるとしても、通期での赤字脱却は難しいと判断する。今期と同様に来期も表記にまで下方修正する。来年2月上旬に発表する08年4~12月期決算の実績や、今後の状況を鑑みて再度予想数字を改める可能性もある。


《東洋経済・最新業績予想》
 (百万円)    売 上  営業利益   経常利益  当期利益
◎本2008.03   26,289,240  2,270,375  2,437,222  1,717,879
◎本2009.03予  21,500,000   -150,000    -50,000     50,000
◎本2010.03予  21,000,000   -200,000    -50,000          0
◎中2008.09   12,190,405    582,068    636,487    493,469
◎中2009.09予  10,000,000   -300,000   -200,000   -200,000
-----------------------------------------------------------
          1株益\    1株配\
◎本2008.03        540.7         140 
◎本2009.03予        15.9     120-130 
◎本2010.03予         0.0     120-130 
◎中2008.09        156.9          65 
◎中2009.09予       -63.8       60-65 

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大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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