こうした結果、入社半年くらいで、その会社で働くことの未来が見えなくなり、退職を考える。もしくは、やりがいは諦め、世間体のため、生活のために割り切って働く――。このような、非常にもったいない若手人材が何人もいます。
こうなってしまうと、今後のキャリア形成にとって、望ましいとはいえない展開になります。早期に退職を選択した場合、残念ながら新卒時よりも市場価値が下がってしまうのが現状です。転職活動をしても、新卒時に比べて入社できる会社の選択肢が狭まっており、今より満足できる会社に転職できる可能性は高くありません。
退職を選択せずに、残るとしても、やりがいをもって働けないのであれば、その会社で積み上げられる経験が薄くなる可能性が高いといえます。
比較的長く働いたとしても、与えられたルーティンの仕事しかしていなければ、世の中で通用するビジネススキルが身につかず、年は取っても市場価値があがらなくなります。また、その会社で働くことが、ただ我慢を積み重ねることになるため、精神的な問題を抱える可能性も高くなります。
つまり、新卒時に安易に会社を決めることは、就活というストレスから早く逃れられる反面、将来的に大きなリスクを抱えることになるのです。
確かに数少ない出会いの中で、「幸運にも相性の良い会社」に出会える学生がいることも事実です。しかし、それは本当に幸運なパターン、もしくは入社してから腹をくくり、「ギャップがあっても自分が決めたことだから」と、むしろ仕事の面白さや成果を自らつくりだして「相性の良い会社にする」パターンだと思います。
素直で真面目なタイプほど安易に内定先を決めてしまう
後者の人のように、覚悟ができればいいのですが、そのような学生はそもそも楽観的で、深く考えることなく突き進んでいけるエンジンをもっているタイプが多いと思います。
しかし、安易に会社を決めてしまう学生の多くは、そういうタイプの学生ではなく、素直で真面目なタイプだと感じています。新たな動機が見つかる機会がない限り、柔軟に対応できる人が少ないのではと思っています。
よって、就活をはじめたばかりの学生に対し、早期に囲い込みをすることには反対です。自己分析や企業研究など、やるべきことをしっかりやっている学生や、明確な志がある学生については心配ありませんが、多くの学生は、そこまでの準備や志がないまま、就活に挑んでいると思います。
そんな中、企業側が安易に早期囲い込みをすることは、お互いのミスマッチを増やすことになるのではと懸念しています。
就活スケジュールの早期化は企業主導で行われており、学生側が変えようと思って変えられることではありません。よって、学生側が、「企業の巧妙な手口にはまり、安易に就職先を決めないようにする」という意識を持つことが重要になると考えています。
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