安倍1強政権に浮上する「麻生太郎」リスク 「産まない方が問題」失言、福岡知事選は横車

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ただ、麻生氏の態度には、野党側は「『間違えていた。反省しています』というのが謝罪。でも、麻生さんの本心ではないから、何度も失言が出てくる。『誤解を与えたのであれば謝る』というのはひきょうだ」(松沢成文・希望の党代表)など反発は収まらない。

麻生氏は昨年も失言や暴言を繰り返して政局を混乱させた。前代未聞の不祥事となった「森友学園問題」をめぐる公文書改ざん事件について、財務相トップとして改ざんの理由を問われると「それが分かれば苦労しない。それがわからないからみな苦労している」と言い放ち、記者団をあきれさせた。

さらに、昨年4月初めに暴露された財務省の福田淳一事務次官(当時)の女性記者への「セクハラ」問題でも、「セクハラ罪という罪はない」「(女性記者に)嵌められて訴えられているんじゃないかとか、ご意見はいっぱいある」などと発言して世間の猛反発を受けた。こうした失言癖について野党は「何度も何度も何度も繰り返す。まさにアホウ太郎だ」(社民党幹部)と切り捨てる。

麻生氏の失言は頭痛の種

麻生氏は菅官房長官とともに2012年末の第2次安倍政権発足以来の「内閣の大黒柱」だ。首相経験者で首相の後見人も自任する麻生氏は「首相の精神安定剤」(側近)とされる。だからこそ、昨年10月の党・内閣人事で、安倍首相は周囲の不安を押し切って麻生氏を続投させた。ただ、その首相にとっても麻生氏の失言癖は頭痛の種で、首相周辺も「秘書官などを通じて、麻生氏に反省を促す場面もある」と苦笑する。

今年の政局は内政外交とも「何があってもおかしくない」(自民長老)という波乱含みの展開が続く。8日から始まった衆院予算委での来年度予算案の審議も、統計不正問題の展開次第では根本匠厚労相の更迭にも追い込まれかねない。もし根本氏が辞任すれば、公文書改ざん事件でも辞めなかった麻生氏が野党の標的になる。それに伴い首相の泣き所であるモリカケ疑惑も、改めて野党に攻撃される可能性が大きい。

それだけに、首相サイドも「とにかく、麻生氏の隠忍自重を祈るしかない」(側近)と肩をすくめるが、麻生氏をよく知る山崎元副総裁は6日のラジオ番組で「麻生さんは元々常識が欠けていた。恵まれて育ちすぎて、上から目線でずっときているから、ああいう発言が次々出てくる」と冷たく突き放した。参院選に向け当分は「安全運転に徹する」という首相にとって、統計不正と並んで「麻生太郎リスク」が政権運営の不安要因に浮上してきた。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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