なぜ中小企業にこそ「健康経営」が必要なのか L・グラットン氏「人生100年時代の重要課題」
従業員の欠勤や体調不良で労働生産性が損失
従業員の健康度は、企業の生産性にどのくらいの影響を与えるのか。この問題について、東京大学の古井氏は「体調不良で欠勤や休職するアブセンティーイズム、出勤しても体調不良で能率が低下するプレゼンティーイズムによって、労働生産性は失われる」と指摘。具体的には、健康リスクの高い人と低い人で、労働生産性の損失は費用換算で約3倍に上り、従業員数100人の中小企業であれば1億円規模の損失になるというデータを示した。
実際、アクサ生命が中小企業経営者を対象にしたアンケートによると「社員の体調不良が経営に影響を与えたと感じたことがある」と回答した経営者は約6割に達し、そのうちの約8割が「業務遂行の速度や、ほかの社員の業務量に影響した」と生産性の低下を実感しているという。
古井氏は、健康増進や疾病予防など“健康投資”を積極的に行うことは生産性の向上につながるだけでなく、健康をテーマとして従業員同士にも新たなコミュニケーションが生まれ、職場環境が活性化する効果を指摘。「健康経営は社員と企業がともに成長する土壌になる」と強調した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら