なぜ中小企業にこそ「健康経営」が必要なのか L・グラットン氏「人生100年時代の重要課題」

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続けて新佐氏は、健康経営を成功させるポイントとしては「大企業に倣って残業時間の管理や有給休暇の取得促進など制度だけ取り入れてもうまくいかない。組織体制や企業風土を一から見直すなど、制度導入前の“土壌づくり”から始めるべき」と強調。

そのために、まずすべきこととして、①従業員の面談をして、働き方や健康に関して何が問題なのか課題を抽出する、②取り組みを推進するためのキーパーソンを各部署で見つけて、協力を要請する、③すぐに結果が出なくても、1つの施策について最低5回は続ける――と自社の体験を基に語った。

「ライフ・シフト 100年時代の人生戦略」の著者の一人であるリンダ・グラットン氏は、教育⇒仕事⇒定年後の生活という3ステージの従来型の人生ではなく、100年長寿社会の中でのマルチステージに対応した新しい人生設計を提唱している。

特に長寿化の中では、「健康を保ちながら長く働くことが大切になってくる」として、これまでのように長時間労働や長時間通勤、休みが少ない働き方では80歳まで働けないと警鐘を鳴らした。

従業員の働き方に配慮する中小企業が選ばれる

こうした中、企業における健康と生産性の向上については「人生100年時代のど真ん中にある課題」と述べ、「職場は健康を保つための場所というのは絶対的に重要な視点」と強調した。

産官学それぞれの立場から活発に意見交換がなされた(撮影:今井康一)

また、中小企業が健康経営に取り組む意義については、日本の少子高齢化などで労働市場が逼迫している現状を指摘。「従業員の働き方に配慮して健康経営に積極的に取り組む企業が、人々により選ばれる傾向になる」と明言した。そのためにも給与水準のように、「健康経営の水準を目に見える形で示すことができる標準的な測定方法が望まれる」と語った。実際、経済産業省の調査によると、就活生とその親を対象に「健康経営に取り組んでいるかどうかが、就職先の決め手になるか」という質問をしたところ、7割以上の「重要な決め手になる」との回答があったという。転職市場においても健康経営に取り組む中小企業は選ばれる傾向にあるだろう。

「世界は長寿化の先頭を進む日本の対応に注目している。人々がこれからどう健やかに老いていくのか、また企業の従業員はどう健康に働き続けるのか。さまざまなロールモデルや新しいサービスが出てくることを期待したい」。リンダ・グラットン氏は最後にこう締めくくった。

高見 和也 東洋経済 記者

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たかみ かずや / Kazuya Takami

大阪府出身。週刊東洋経済編集部を経て現職。2019~20年「週刊東洋経済別冊 生保・損保特集号」編集長。

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