「車いすラグビー」の想像を絶する激戦の裏側 乙武洋匡が東京大会の雄「池崎大輔」を直撃

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池崎:いやほんと、大変なんですよ。そもそも障害者アスリートには、マシンに乗り移れない選手だって多いですから、皆さんそれぞれいろんな苦労をされていると思います。

乙武:ちなみに、池崎さんのその症状は、今も進行中なのですか? 極端な話、このままいくとやがて競技どころか日常生活すら立ち行かなくなる状態にまで、筋力が衰えてしまうようなこともあるのでしょうか。

池崎:それが、自分でもよくわからないというのが正直なところなんです。とりあえず症状が進んでいる実感はないので、あまり気にしないようにしています。

乙武:目に見えて進行しているわけではないというのは、ひとまず明るい材料ですね。普段のトレーニングは、国立スポーツ科学センターで行っているんですか?

インタビューする乙武洋匡さん(左)と池崎大輔選手(写真:)

池崎:いえ、大抵は普通に区営の体育館などでやっていますよ。ただ、どうしても車いすのタイヤ痕や松ヤニが床に付くので、施設側から断られてしまうこともあります。

乙武:2020年に向けてこれほど盛り上がってきているのに、それは切実な問題ですね。

池崎:まあ、一般の利用者も大勢いるわけですから、こればかりは仕方がありません。そういうときは坂道を使ったりもしますね。単に筋トレをすれば体は大きくなりますが、今度はそのパワーをいかに車いすに伝えるかという、“つなぎ”の練習も必要なので、シンプルに坂道ダッシュなどがわりと効くんです。純粋に、競技の際の姿勢のまま、競技で使う部位を鍛えられるのでいいんですよ。

乙武:肉体だけを鍛えるのではなく、車いすと一体化した鍛錬が求められる、と。

池崎:そうですね。いくら体を大きくしても、いざ車いすに乗ってみたらスピードが落ちたというのでは、あまり意味がありませんから。

30Gの衝撃が発生するコンタクトスポーツ

乙武:池崎さんがバスケからラグビーに転向されて、ちょうど10年になります。当初、バスケとの大きな違いをどのような部分に感じていましたか?

池崎:最大の違いはやはりコンタクトですね。バスケでは接触するとファールを取られますが、ラグビーはフルコンタクト。それこそが魅力でもあります。

乙武:そうですよね。ただ、コンタクトが前提となっていることに、怖さやリスクは感じませんでしたか。

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