FRBパウエル議長が米議会と緊密になるワケ 公表された議長のスケジュールで明らかに
[サンフランシスコ 30日 ロイター] - トランプ米政権からの声高な批判を浴びる中で、難しい金融政策のかじ取りを任された連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、前任のイエレン、バーナンキ両氏よりも頻繁に連邦議員たちとの会合を重ね、味方を増やそうとしているようだ。
昨年2月以降11月まで少なくとも72人の議員と連絡
議長就任後の10カ月間で、それも利上げを巡りFRBと議長自身に対して公然と大統領が攻撃を始めるかなり以前から、共和・民主両党の議員と計40時間以上にわたって電話や直接の面会による協議を行っていたことが、公表された議長のスケジュールで明らかになった。
これは、前任議長のイエレン、バーナンキ両氏が、それぞれの就任同時期に行った協議時間の総計にほぼ等しい。
昨年2月から11月にかけて、パウエル議長は合計で少なくとも72人の議員と連絡を取っており、イエレン前議長が4年間の任期を通じて接触した議員よりも、すでに2人多い。
毎月公表されるパウエル議長のスケジュールは、それぞれの協議内容には触れておらず、議長自身やFRBも詳細を開示していない。
とはいえ、面会した主要議員への取材から、同議長がバーナンキ、イエレン両氏よりもはるかに高いレベルで議会との友好関係を築いている様子が見て取れる。トランプ大統領からの攻撃が強まるとすれば、連邦議会という後ろ盾は議長にとって有益となるだろう。
トランプ大統領は2017年後半、パウエル議長を指名したが、2018年になると、元弁護士で投資銀行の幹部だったパウエル氏との関係は悪化。FRBによる利上げを「頭がおかしい」「馬鹿げている」と非難し、経済成長の足を引っ張る元凶だと、攻撃を繰り広げた。
こうした批判は米政権がFRBに政策を押しつけようとしているという懸念を呼び起こした。トランプ大統領が非公式にパウエル議長の任を議論していたことが報じられると、この懸念はいっそう強まった。その後トランプ氏は、議長解任を試みることはないと記者団に語った。
パウエル議長は昨年7月、「議会議事堂のカーペットをすり減らす」とマーケットプレース・ラジオとのインタビューで約束したが、彼のスケジュールを見れば、どれほど頻繁に議会に足を運んでいるかが分る。その狙いについて、中銀の行動について説明し、その監視役となる議員の関心に応えることだ、と議長は説明していた。
こうしたパウエル氏の努力は、歴代議長と一線を画するだけでなく、国会議員と1対1で会うことが滅多にない欧州中央銀行(ECB)や日本銀行の総裁との違いも際立たせている。