「紙なし、窓口なし」、三菱UFJ新型店の実力度

20年後に銀行の店舗は消えてなくなる?

学芸大学駅前店は当面、2階部分に従来型の窓口を残して運営する。同店の窓口の人員は現在約20人。次世代店舗での取引が主流になれば、窓口は不要になり、店舗の人員は半分以下で済む。

重要なのは、このようなデジタル技術を活用したサービスを顧客が受け入れるかどうかだ。荻窪氏は「今回の店舗が完成形ではなく、進化を続ける」という。その意気込みは店舗にも見て取れる。今回の店舗には13台のカメラが設置され、人数や年齢、店舗のどこをどのように移動したかなどを分析する。どのような層の顧客がどんな理由で店舗を必要としているか、待ち時間を減らすために必要な機器の配置や効率の良い動線を模索する。

進む消費者の銀行店舗離れ

今後の展開としては、大阪・心斎橋で「MUFG NEXT」の2店舗目を4月にオープン予定。学芸大学駅前支店とは異なり、窓口を備えたフルバンク型の店舗だ。形式の異なる両店舗での試行検証を経た後、2023年度をメドに「MUFG NEXT」を軸としてコンサルティングに特化した店舗や、銀・信・証一体型などの次世代店舗を70~100店舗まで拡大予定だ。

今回の次世代店舗からもわかるように、銀行の店舗は大きな変化が訪れている。背景には、消費者の行動変化がある。三菱UFJの場合、店舗への来店客数が過去10年間で4割も減少した。一方でインターネットバンキングの利用者は5年で4割増加している。取引の件数では、ネットでの取引が店頭での取引を上回っている。

コスト面でも圧力がかかる。個人や中小企業向けのリテール部門は、銀行にとって基盤とも言えるビジネス。しかし、多くの行員や店舗を抱えることによるコストは業績の重しになっている。国内では低金利環境が続く中、収益性の改善にはリテール改革が急務。フィンテックによる事務量削減や店舗外ATMの相互開放など、運営の効率化を意識した取り組みが続いている。

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