「紙なし、窓口なし」、三菱UFJ新型店の実力度 20年後に銀行の店舗は消えてなくなる?

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中でも店舗改革は、リテール改革の大きな柱となる。三菱UFJは現在515カ所ある店舗を2023年度までに2割減らす計画を発表している。みずほフィナンシャルグループも同様に約500カ所ある店舗を2024年度までに100カ所減らす計画となっている。統廃合だけではなく、より効率的な店舗運営として次世代店舗化も求められるようになった。

現金を扱う業務は基本的にATMで行い、顧客スペースは資産運用の相談などに割いている。三井住友銀行の中野坂上店(撮影:田所千代美)

三井住友フィナンシャルグループは、2019年度までに国内の430店舗すべてを次世代型店舗に切り替える方針だ。個人専用店舗や予約制店舗など複数の形態の店舗を展開する。「GINZA SIX」内の銀座支店や中野坂上支店などすでに移行は進んでいる。行員が顧客と隣り合って相談に応じる「寄添い型ブース」などコンサルティングに重点を置く。

みずほは銀・信・証一体型を追求

みずほは銀行と信託、証券の各業務を一体化した店舗を拡大している。現在は店舗全体の4割程度だが、2020年度までに全拠点を一体型店舗にする方針だ。

銀行と信託、証券の窓口を一つのフロアに集中させた、みずほフィナンシャルグループの吉祥寺支店(撮影:尾形文繁)

次世代店舗化にあたって、デジタル化、コンサルティング特化、銀行と信託、証券業務を一体化した店舗といった方向性は各社に共通している。しかし、各社の1号店をみると、どの要素に比重を置くのか、各社の戦略は異なっているように見える。今までどの銀行の店舗に行っても同じようだったことも、今後はそうでなくなる可能性が高い。

三菱UFJは2018年6月の株主総会で、20年後にはリアルの店舗はなくなっているという見方を示した。今回の新コンセプト店は、銀行の店舗がなくなるまでの過渡期の状態と言える。本当にそんな未来がやってくるのか定かではないが、銀行の経営とサービスの両面において、店舗も1つの差別化要素となってくることは間違いない。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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