3年目の苦戦「トランプ一般教書」3つの注目点 経済や中国についてどんな発言をするか

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通商政策では、対中交渉以外にも見所が多い。議会には、NAFTA(北米自由貿易協定)の改訂版であるUSMCA(米墨加協定)について、労働・環境問題での踏み込み不足などを理由に、迅速な承認に難色を示す気配がある。

これに対してトランプ大統領は、議会がUSMCAの承認を渋る場合には、NAFTAからの脱退を辞さない方針を明らかにする可能性がある。そうなれば、USMCA交渉の妥結でいったんは消えた北米の自由貿易圏消失リスクが、再び浮上しかねない。

「宿敵」にどんなメッセージを送れるか

かねてから検討中の自動車・同部品の関税引き上げについても、何らかの言及があるかが注目される。今後の日本やEU(欧州連合)との交渉に大きな影響を与えるにもかかわらず、トランプ政権の方針や今後のスケジュールに関する情報は少ない。不意打ちとならないよう、警戒が必要だ。

さらにトランプ大統領は、大統領の判断だけで関税を引き上げる権限を強化するよう、議会に求める方針である。さらなる貿易摩擦の深刻化を連想させるが、一方の議会には、関税引き上げに関する大統領の権限を弱めようとする動きもある。もろ手を挙げて大統領の提案が歓迎される状況ではない。

一般教書で脚光を浴びるのは、トランプ大統領だけではない。演説の会場には、中間選挙で選ばれた数多くの新人議員がつめかける。下院では女性議員の数が史上最多となっており、これまでにない華やかさが予想されるが、トランプ大統領にとって友好的な雰囲気であるとは限らない。

何よりも、トランプ大統領が演説を行っている間には、その真後ろに目下の宿敵であるペロシ下院議長が座る。どのようにトランプ大統領がペロシ下院議長に語りかけ、その演説にペロシ下院議長がどう反応するのか。わずかな表情の変化にまで、注目が集まりそうだ。

安井 明彦 みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部長

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やすい あきひこ / Akihiko Yasui

1991年富士総合研究所(現みずほ総合研究所)入社、在米日本大使館専門調査員、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長、同政策調査部長等を経て、現職。政策・政治を中心に、一貫してアメリカを担当。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)などがある。

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