3年目の苦戦「トランプ一般教書」3つの注目点

経済や中国についてどんな発言をするか

対立の長期化は、アメリカ経済にとって大きな懸念材料である。政府閉鎖が再発するような事態となれば、消費者や企業のマインドが落ち込み、今度こそ経済への悪影響が顕在化しかねない。

さらに深刻なのは、これから必要となる政府債務上限の引き上げまでもが、国境の壁をめぐる論争に巻き込まれるリスクである。共和党のグラム上院議員は、より経済への影響が大きい債務上限の問題を抱き合わせ、民主党に譲歩を迫るよう提案している。一般教書演説でトランプ大統領が採用するようだと、米国債のデフォルト懸念が浮上しかねない危うい戦略だ。

具体的な政策メニューをどれだけ提示できるか

対立の長期化が懸念される一方で、わずかではあるが風向きの変化も感じられる。共和党議員の離反である。トランプ大統領が政府閉鎖の解除に応じたのは、閉鎖の長期化を嫌う共和党議員の間に、民主党に同調する動きが広がり始めたからだ。

特別検察官によるロシア疑惑の調査が大詰めを迎える中で、トランプ大統領が議会による弾劾の動きを阻止するには、共和党議員に対する求心力の維持が欠かせない。そのためには、とにかく政府閉鎖をめぐる諍いに終止符を打ち、有権者にアピールできる政策課題に戦場を移す選択肢がある。さらにいえば、ねじれ議会の序盤戦でペロシ下院議長と「取引(ディール)」ができれば、今後の民主党との協力関係構築への展望が開けてくる。

そこで一般教書演説の第2のポイントとなるのが、具体的な政策メニューの提示である。有権者にアピールするにせよ、民主党との協調を探るにせよ、具体的に何をやりたいかがわからなければ、前に進みようがないからだ。

これからトランプ政権が目指そうとする政策課題については、異例なほどに情報がない。通常であれば、一般教書演説を前にした時期には、演説に盛り込まれる可能性がある提案が次々にリークされる。演説への期待を盛り上げる狙いがあるのはもちろんだが、事前に世論の反応を探り、実際の演説への採用を検討する材料にする場合もある。

ところが今回は、そういったリークが極めて少ないまま、演説当日が近づいている。政府閉鎖への対応に忙殺されていたのはもちろんだが、人事の遅れなどを背景に、トランプ政権の政策立案機能が低下している可能性がありそうだ。なにしろ3年目のトランプ政権は、首席補佐官、国防長官、司法長官といった重要な役職が、代行のままで走り出している。ホワイトハウスの主要なスタッフも、その6割以上が交代しているありさまだ。

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