フリーランスと会社員、働き方の根本的な差 広がる「雇用されない働き方」の課題とは何か

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続いて報酬です。フリーランスは、複数のクライアントと契約ができるので、多くの受注や単価の高い仕事を請け負うことでがきれば、それに応じて報酬が一気にアップする可能性があります。自分の仕事の成果が報酬という形で反映される点は、やりがいにもつながります。ただし、仕事がなければ報酬も減るため、経済面で生活が安定しないということも考えられます。

会社員の場合は、毎月安定した給与がもらえるという点で、フリーランスと決定的な違いがあります。また、月給以外に年に1~2回程度のボーナスが支給されるケースも多く、生活の見通しが立てやすいといえます。

ただし、一般的には、どれだけ成果を上げても、給与が大幅にアップすることは少なく、労働時間=給与という考え方が根底にあります。実際、時間あたりの最低賃金が法律で定められているため、成果を上げない場合であっても、労働時間に見合った給与がもらえる点がフリーランスと異なります。

社会保険は会社員とどう違うのか

最後に社会保険についてです。フリーランスは、個人事業主であるため、「労働者」に適用される「労災保険」と「雇用保険」がありません。そのため、仕事を原因とするケガや病気への補償が、原則としてはありません。失業という概念もないので、会社を辞めたときに退職者がもらえる失業手当も利用することができません。

健康保険については原則として「国民健康保険」に加入することになり、前年度の収入によって、健康保険料の金額が決まります。年金は「国民年金」となり、本人の収入にかかわらず、毎月の年金保険料が決められています。ただし、40年間年金保険料を納めても、年額77万9300円[平成30(2018)年度]のため、老後の生活に備えておく必要はあるでしょう。

会社員の場合、「労災保険」はもちろんのこと、所定労働時間が一定以上あれば「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」がセットでもれなくついてくるため、通勤・仕事中だけでなく、私傷病で働けないときや会社を退職したときの失業手当など、手厚い保障でカバーされています。これらは事業主が保険料をかなり負担している側面もあります。

働き方が広がる一方で、フリーランスの課題も出てきています。最近、とくに問題に挙げられるのが「雇用類似の働き方」です。「雇用類似」とは、「雇用」と「自営」の中間的な働き方をする人で、外形的にはフリーランスや個人事業主、自営業者といった形態を取っています。

本来、フリーランスや個人事業主であれば、複数の取引先と契約ができるわけですが、特定の企業に仕事を依存して、実質的に労働者(企業と労働契約を結ぶ働き方)のような立場に置かれた人が増えています。

労働政策研究・研修機構の「独立自営業者の就業実態と意識に関する調査」(2017年)によると、1年間で仕事の取引先が1社しかない人たちが4割も占めています。労働基準法上の「労働者」であれば、労働関係法令などの保護の対象となりますが、こうした中間的な働き方をしている人については対象となりません。

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