「通勤向け特急」の増発、朝はやっぱり難しい? 人口減少時代でも東京の鉄道は混み続ける
続いてお隣の京王電鉄である。こちらも単純に沿線人口の予測を見てみると、現在より大きく輸送量が減ることはなさそうだ。国土交通省が2012年に発表した、JRや私鉄の各路線の沿線人口が2005~2035年の30年間にどのように変化するかを分析したリポート(2017年6月5日付記事「首都圏の鉄道、沿線人口の増減率ランキング」参照)では、京王沿線の夜間人口(常住人口)はこの間に8.9%増えると予測されている。
一例として、調布市の人口は2028年に約24万人でピークを迎えるが、今から約30年後の2050年も22万7000人で、現在(2019年1月:23万5169人)とそれほど変わらない。ただ、京王は2022年度を目標に笹塚―仙川間の立体交差化と、これに合わせて明大前駅・千歳烏山駅の2面4線化を行うことになっている。ライナーを「遠近分離」という名目で走らせることも可能になってくるかもしれない。
最後に、今春のダイヤ改正で「中央ライナー」が特急「はちおうじ」に変わる中央線はどうか。同線は近年のダイヤ改正で昼間の立川以西の減便が行われるなどしたが、都心に近いエリアの人口はここも当分増え続けそうだ。武蔵野市は2018年に約14万5000人だった人口が、2048年には16万1人台となる予測だ。杉並区は2015年の約54万6000人がピークだが、2050年にも49万人台である。
武蔵野市や杉並区の人口の動向は、中央線の朝時間帯の特急の可能性、ひいては山梨県から朝のよい時間に到着する特急の可能性を左右する。現在のような通勤のあり方が今後も続けば、中央線のピーク時の特急はずっと難しいかもしれない。
人口減より「働き方改革」に期待か
ここまで人口推計などをもとに「朝の特急」の可能性を見てきたが、東京、特に都心部に近いエリアの人口は、これから30年経っても大幅に減ることはなさそうだ。
だが「働き方が変わる」ことは大いに考えられる。在宅勤務や出勤時間の自由度が増すなどすれば、朝のラッシュは緩和され、遠方からの着席通勤も可能になるだろう。
そうすれば、鉄道会社も朝の時間帯に余裕を持ったダイヤをつくることができ、その中で快適な通勤環境を提供できるようになることも考えられる。快適な通勤が可能になる時代は、いつかきっとやってくると思いたい。
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