「通勤向け特急」の増発、朝はやっぱり難しい? 人口減少時代でも東京の鉄道は混み続ける

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まずは「ロマンスカー通勤」の需要が多そうな小田急である。小田急の朝ラッシュ時の最混雑区間は世田谷代田―下北沢間で、国土交通省による2017年度の混雑率のデータでは、列車本数は7時31分~8時31分の1時間に36本あり、4万9416人分の輸送力がある。これに対し、同区間の実際の輸送人員は7万4554人で、混雑率は151%だ。

一方、その後1時間の本数は27本で、これに加えて同時間帯にロマンスカーが3本走っている。同じ区間の夜間下り(20時台)も1時間あたり一般の列車が28本走っており、ここにロマンスカー3本が加わる。現在のダイヤを参考にすれば、1時間に3本ロマンスカーを走らせる場合、一般の列車は27~28本程度と考えられる。

一般の列車28本にロマンスカー3本を加えると、輸送力は約4万人分だ。これで現在と同レベルの混雑率を維持するためには、輸送人員が現在より2割減の6万人程度であればいいことになる。ちなみにこれは約50年前、1970年ごろの同区間の輸送人員(1970年:6万1707人)と同じくらいだ。

郊外は減るが都心寄りはまだ増える

ただ、沿線人口の将来推計から考えると、そこまで輸送人員が減少するのは相当先だろう。小田急がウェブサイトで公開している2018年11月作成のファクトブックによると、沿線人口は2020年の518万5000人がピークで、2035年度でも502万人を維持する見込みだ。

各区市町村が出している将来人口推計を見てみると、相模大野駅のある相模原市は人口のピークが2019年の約72万人で、約30年後の2050年には約62万人と推計している。町田駅のある町田市は、ピーク時の2020年が44万2000人で、2050年には39万7000人だ。新宿から約30kmの郊外エリアは、今後30年で10%以上人口が減ることになる。

一方、人口密集地域の世田谷区はどうか。世田谷区では2042年までの推計しか出ていないものの、2019年1月1日現在の人口が90万8907人なのに対し、2042年には108万7000人まで増える見込みだ。人口増が鉄道利用者の増加に直結するかはともかく、複々線化された区間の沿線人口はこれからも増え続けるのだ。

郊外からの急行や快速急行などの需要が減れば、これらの一部を特急に置き換えることができるかもしれない。一方で、世田谷区内など近距離区間の需要は今後も増える可能性が高そうだ。この輸送にうまく対処できなければ、朝のロマンスカー増発は当分難しいだろう。

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