「通勤向け特急」の増発、朝はやっぱり難しい? 人口減少時代でも東京の鉄道は混み続ける
従来、こういった列車のほとんどは帰宅時がメインだったが、最近は朝の運行も増えつつある。昨年「京王ライナー」の運行を開始した京王も、さっそく今年2月22日のダイヤ改正から朝の新宿行きライナーを走らせると発表した。ただ、新宿着の時間は橋本発が7時00分と9時29分、京王八王子発が6時47分と9時16分(いずれも平日)で、8時台に都心に着く列車はない。
8時30分ごろに都心の駅に着く特急列車やライナー列車があれば、と思う人も多いことだろうが、朝のラッシュピーク時に都心に着く特急やライナーは、現状ではほとんどない。
たとえば通勤向け特急に熱心な小田急は「モーニングウェイ」を朝の時間帯に9本走らせているものの、7時40分新宿着を過ぎると、次は8時42分着までない。その間は一般の通勤列車に乗るしかないのだ。複々線が完成しても、この時間帯は一般の通勤電車でダイヤはいっぱいで、特急の入る余裕はない。
そのほかの鉄道でも、8時台前半に都心のターミナルに着く列車はJRの「湘南ライナー」(東京8時13分着)、「おはようライナー新宿」(新宿8時27分着)、西武の「ちちぶ」(8時09分池袋着)、東武の「りょうもう」(浅草8時18分着)といったところで、決して多くない。
人口減で朝の特急も可能になる?
だが、将来は可能になるかもしれない。
ピーク時に通勤向け特急を走らせるには、ダイヤ上の余裕が必要となる。そのためには、列車本数を現在より減らしても輸送力が確保できる状態になるか、または設備の改良で多数の列車を走らせる余裕が生まれるかのどちらかが必要だ。
近年、鉄道各社が通勤客向け特急やライナーに力を入れるのは、今後の人口減少をにらんだ「選ばれる沿線」となるための施策の一環だ。その人口減が進むことにより、朝の通勤ラッシュが緩和される可能性がある。
東京都の人口は2025年に1398万人でピークを迎え、ここから減少が始まるといわれている。多摩地区はエリアによってすでに人口減少が始まっているが、たとえば23区に近い調布市は、このままなら2028年、大幅な転入超過傾向が続けば2031年に人口のピークを迎えると予測されている。
では、どの程度朝ラッシュ時の輸送量が減れば特急やライナーを走らせる余裕が生まれるだろうか。平成最後の年の始まりにあたって、将来の姿を考えてみたい。
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