離婚で大富豪になった「ベゾス元妻」の正体 約15兆円の資産の半分を手にするのか
「ビジネスは彼女にとって情熱の対象ではなかった。アマゾンが急成長を始めると、彼女は日常の業務には関わらなくなった」とストーンは言う。
彼女は10年の歳月をかけて第1作目の小説『ルーサー・オルブライトの実験』を執筆した。朝早く起きて執筆することも多かった。そして恩師のエージェントであるICMパートナーズのアマンダ・アーバンと契約した。アーバンはほかにも、コーマック・マッカーシーや村上春樹、カズオ・イシグロらのエージェントを務めている。
作家としてのキャリアは夫の事業で複雑に
『ルーサー・オルブライトの実験』は2005年にハーパー社から出版され、高い評価を得た。1980年代を舞台に、仕事においても家庭でも人生が崩れ始める技術者の物語だ。
ニューヨーク・タイムズの書評でケイト・ボリックは、この小説を「静かに心奪う」作品だと評し、ロサンゼルス・タイムズはこの年の最良の本の1冊に数えた。パブリッシャーズ・ウィークリーはマッケンジーの「繊細なイマジネーションと自然主義の驚くべき才能」を称えた。
だがマッケンジーの作家としてのキャリアは、あまりにも有名な夫(たぶんこの数十年で誰よりも書籍販売ビジネスを変容させ、時に揺さぶったと言える人物)のせいである程度、複雑なものになったのかもしれない。アマゾンによる市場の独占は、独立系の書店を廃業に追い込んでいるばかりか、バーンズ&ノーブルのような大型チェーン店にとっても大きな脅威となっているという声は多くの独立系書店や出版社、エージェントから聞かれる。
アマゾンが華々しく出版部門を立ち上げたにもかかわらず、マッケンジーが自作の出版に選んだのは従来型の出版社であるハーパーやクノッフだった(ジェフはあるインタビューで、なぜ夫人がアマゾンのフィクション出版部門から本を出さないのかと問われてこんなジョークを口にした。いわく、「釣ったはずの魚に逃げられた」と)。
マッケンジーの小説の販売部数はささやかなもので、NPDブックスキャン(アメリカの出版物の約85%の売れ行きを追跡している)によれば数千部だ。ある出版社の幹部が匿名で語ったところでは、マッケンジーの著作を置くのを拒んだ独立系書店もあったという(エージェントのアーバンはコメントを拒んだ)。