離婚で大富豪になった「ベゾス元妻」の正体 約15兆円の資産の半分を手にするのか
いわく、この本には「事実に関し不正確な点が数多く」あり、「ノンフィクションの枠を拡げる手管に満ちている」というのだ。ストーンはベテランのテクノロジー記者で、この本についてもニューヨーク・タイムズの書評欄ではミチコ・カワタニが「人を動かす力と情熱に満ちた破壊的な技術革新の物語であり、きちんとした情報に基づく大量のリポート」だと評している。
ともあれ、離婚により記録的な額の財産分与を受けるかもしれないマッケンジーの素顔についてはほとんど知られていない。
ベゾスの笑い声にほれて結婚
マッケンジー・タトル(旧姓)が未来の夫に出会ったのは、ニューヨークのヘッジファンド「D.E.ショー」で働いていた時だった。ジェフはたたき上げのコンピューターの専門家で、当時は同社で上級副社長を務めていた。
マッケンジーは2013年の『ヴォーグ』誌とのインタビューで、小説を書きながら生活をするために同社で事務職に就いたが、隣のオフィスで働く男の笑い声にすぐに魅了されたと語っている。「一度耳にしただけで恋に落ちた」。
3カ月間の交際を経て2人は婚約。式はフロリダ州ウェストパームビーチのリゾートで挙げた。この時ジェフは30歳でマッケンジーは23歳だった。
ジェフが強気でとことん明るいビジネスマンなのに対し、マッケンジーは自らを内向的で本好きな人間だと形容する。ジェフは結婚から6年後の1999年、『ワイヤード』の取材に対し、恋愛に関しては「物事に臨機応変に対応できる」相手に出会いたいと思っていたと語っている(マッケンジーの好みも似ているようで、2017年にジェフはあるイベントで、「気の利かない子を相手にするよりは9本指の子のほうがずっといい」という妻の言葉を紹介している)。
マッケンジーは幼い頃から文学的野心を抱いていた。過去のインタビューやアマゾンの著者ページの紹介文(控えめに「夫と4人の子どもたちとともにシアトルで暮らしている」と書かれている)によれば、本気で小説の執筆を始めたのは6歳の時で、「本の虫」と題した全142ページの物語を書き上げた。この作品は後年、洪水の被害に遭って失われてしまったため、今ではまめに作品のバックアップを取るようにしているという。