文藝春秋がノンフィクション作品に拘る真意 「冬の時代」だがやり方次第でまだまだ売れる

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角幡さんの「極夜行」は、ノンフィクションの中でも冒険記です。若い層にアピールできるネーミング、キャッチを考えてほしい。これは編集者の仕事です。手にとって読んでもらえさえすれば、面白いノンフィクション作品は数多くあるのですから。

ノンフィクションが冬の時代を脱するには?

――ノンフィクションが冬の時代を脱するためには、そうした課題のあぶり出しと解決が急務である、と。

1つの好例が、昨年、盛岡のさわや書店さんが仕掛けた「文庫X」です。新潮文庫のあるノンフィクション作品を独自のカバーで覆い、読者にはタイトルがわからない、ただし面白さはカリスマ書店員が保証する「文庫X」として店頭でアピールした。そのミステリアスな仕掛けが話題を集め、瞬く間に全国650店以上の書店に広がりました。

読者に明かされたのは価格とページ数、そしてこれがノンフィクション作品であることのみでしたが、結果的に数十万部の大ヒットを記録しています。この手法には賛否あったものの、やり方次第でノンフィクションはまだまだ売れることを示したと言えるでしょう。作品が素晴らしいのは言うまでもありませんが。

――ところで、このような厳しい状況でありながらも、出版社がノンフィクション作品の刊行を続けている理由は何でしょうか。

出版社である以上は当然、商業的な勝算を見込んでのことです。特に弊社はもともと雑誌社です。現在も月刊の「文藝春秋」や「週刊文春」を発行しています。ノンフィクションは雑誌媒体で行ってきたジャーナリズムと親和性の高い分野で、冬の時代であっても会社の大きな柱であることに変わりはありません。

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