東京メトロ「地下駅」は大変貌の真っただ中だ 「大手町」駅は4路線で雰囲気が大きく違う

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次いで木場。軟弱地盤を克服した日本初のシールド工法の駅で、2本の単線シールド内それぞれにホームがある。しかし、ホーム拡張が困難な構造なのに駅周辺の再開発により利用が激増した。そこでシールドトンネルの半分を箱型構造に作り替え、コンコース階ともども拡張するものである。今のところダグタイルの円形トンネルはそのままだが、見えない外側で工事は進む。

そして南砂町。もともとは東陽町以東の快速は通過する小ぶりな駅だったが、ここも界隈の再開発で高層ビルや大規模商業施設が建ち、外の歩道橋デッキに立てばクレーンの林立が眺められる状況にある。狭い島式ホームの朝の滞留解消は大きな課題であり、もう一点、朝の都心方向行きは主要駅を前に列車が遅れやすいポイントでもあった。そのため1面2線を2面3線に拡大して交互発着を実現し、遅延の吸収機能を持たせる。これらの3駅の新設備はいずれも2022年度供用開始を予定している。

一方、列車増発を可能にする改良工事は都心側でも行われている。飯田橋―九段下間に設けられた折返し線のトンネルを延長するとともに配線変更し、平面交差の支障なく折り返せるようにする。こちらは2019年度の供用開始予定だったが、重要幹線を含む地下埋設物の移設や障害物撤去が予想を大幅に上回った結果、工程を大幅に延ばす事態となり、2025年度末の供用開始予定に変更されている。

路線別にレトロやクールな表情を持つ大手町駅

大手町駅コンコース。黒が効果的だ(撮影:杉山 慧)

戻って大手町駅を探索する。JR東京駅と皇居の間を占める都心中の都心で、丸ノ内・東西・千代田・半蔵門の4線でスクエアを組み、千代田線に並行する都営三田線が加わる。このうち東西線はJRと交差する位置にホームをもち、八重洲口にも直結する。しかし、開業年代の古い路線はしだいに老朽化して精彩を欠いていたため、2012年からバリアフリー化、駅内設備の再配置や一部の拡幅等を含めた全面改装を手がけた。2016年度に開業60周年を迎えた丸ノ内線部分が完成し、続いて2017年度に東西線と千代田線部分が完成、建設年次が新しい半蔵門線も化粧直しが行われ、ほぼ完成している。

駅周辺の環境に合わせて各線ごとにデザインを変えたことが大きな特徴で、東西線エリアは高層ビルのガラスがモチーフとか。壁面を埋めるパネルは鱗(うろこ)のようにも見える。すっきりした天井からLEDのライトの光が注ぎ、シルバーグレーの丸柱が並ぶ様子は都会のクールさを発揮。ただし、根本的な構造から中ほどの階段部のホームは狭く、いずれホームドアを設けると、さらに狭くなりそうだ。

次ページ路線ごとに特徴的な大手町駅ホーム
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