オートサロン活況でも決定的に足りない要素 東京モーターショーの存在価値はどこにある
連日の入場者が10万人を超す人気となった「東京オートサロン」。単一企業の主催イベントであり、これだけ入れば出展料金と合わせて、主催者である自動車関連の出版会社・三栄書房にとってうまみが大きい商売である。
活況なのに、新しいビジネスの流れが見えてこない
一方で、自動車メーカーにとって、どれほどのうまみがあるか?
スズキ「ジムニー」やマツダ「ロードスター」など改造や改良との相性がいいクルマでは、固定ファンを中核に、新型車発売によって客層をさらに広げる機会になっていることは確かだ。だが、ミニバンと軽自動車が主体である日本市場において、正規のアフターマーケットパーツの販売を含めた、新車の販売に具体的にどう結び付くかという点では当然、疑問が残る。
また、長らく改造車市場では商売の主役であったサスペンション、ブレーキ、シート、潤滑油の関連企業にとっても、そうした部品を買いそろえて1台のクルマに仕上げる人も減っており、東京オートサロン出展に対する販売促進効果については疑問が残る。ケンウッドやクラリオンなどカーナビをメインとした音響メーカーにとっても、状況は同じだ。
つまり、会場内は人の山になっているのだが、そこから生まれてくる新しいビジネスの流れがまったく見えてこないのだ。
筆者は、自動車メーカー各社関係者と、「自動車メーカーとしての今後」について意見交換する機会がとても多い。近年は自動運転、EV、コネクテッドカー、シェアリングエコノミー、そして若者のクルマ離れなど、人とクルマ、または社会とクルマの関係が大きく変わってきたからだ。
「東京モーターショーの人気は下がっているが、東京オートサロンはものすごく盛り上がっている。これは、自動車好きがまだまだ多い証拠であり、われわれとしてもこうした事実を理解したうえで、さらに新しい手を打つべきだ」という声をよく聞く。
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