TBSが放送持ち株会社化を株主総会で議決、楽天は買収の道が閉ざされる、株式評価損計上なら今期最終赤字も
TBSは12月16日午前に開催した臨時株主総会で、2009年4月に放送法上の認定放送持ち株会社に移行する議案を賛成多数で可決した。持ち株会社への移行により、TBSでは1株主が33%を超えて株式を保有できなくなる。楽天にとって、過半数の株式を取得してTBSの支配権を握る道が、制度上閉ざされたことになった。
楽天は、従来からの主張どおり議案に反対した。総会に出席した高山健取締役は「株式の保有制限を認める持ち株会社化は、上場会社としておかしい」と主張。「放送会社としての公共性を担保する方法はほかにもある」と制度に疑問を呈した。
楽天が保有するTBS株は約3777万株で、1株あたりの簿価は3095円。楽天は投資有価証券の会計処理を、期末時点で簿価より50%以上下落した場合は評価減し、評価損として損益計算書に反映させることとしている。TBSの株価は12月15日終値時点で1375円と、評価減の対象となる1548円を下回っている。このままの水準で期末12月30日まで推移すれば、単純計算で、約650億円の損失計上を余儀なくされる。楽天の今08年12月期の営業利益は430億円程度と予想(会社は予想を非公表)されるため、最終損益が赤字に転落する可能性もある。
評価損でありキャッシュフローベースでは影響はない。とはいえ、昨年の金融事業の巨額損失に続き、TBSでも巨額損失を計上することとなれば、二期連続で極めて低い利益水準に甘んじることになる。過去の株高局面で仕掛けた積極的なM&Aが相次いで裏目に出たことが、決算上も明らかとなりイメージダウンとなろう。
なお、議案に反対したことで、楽天は保有TBS株の買取請求権を取得した。請求権の行使について高山取締役は、「まだ決めていない。09年3月いっぱいまで時間がある」と説明した。TBSが持ち株会社に移行する09年4月までに請求権の行使を決め、行使する場合は、4月以降に買い取り価格などの条件交渉となる見通し。買い取り価格は3月末のTBSの株価を基準に、楽天はプレミアムを求めていくことになりそうだ。ただ、買取を求めても損が実現するだけで、会計上の影響は大きくない。TBS株価の一定の回復を見込んで塩漬けにする可能性もあろう。
(丸山 尚文)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2007.12 213,938 118 2,376 36,898
連本2008.12予 249,000 43,000 41,000 20,000
連本2009.12予 287,500 51,500 50,000 23,000
連中2008.06 121,814 18,266 17,395 7,293
連中2009.06予 132,000 24,000 23,000 10,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2007.12 2826 100
連本2008.12予 1529 100-200
連本2009.12予 1758 100-200
連中2008.06 557.7 0
連中2009.06予 764.4 0
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