例えば、市場に出回るマネーが少なくなり、モノやヒトに対してマネーが相対的に減る(希少になる)のでその価値が高まり、天秤のバランスが変化する。左側の秤が下がり、モノやヒトの価値が下がる。つまりこのとき、デフレ(一般物価の下落)が起きる。
反対に、右側の秤においてマネーが増えることで(マネーは希少ではなくなり)、価値が低くなる。そうなると、反対側の秤が上がるわけで、モノやヒトの価値が上がる、つまりインフレが起きるのである。
そして、マネーを作る権限を独占しているのが、中央銀行(日本の場合、日本銀行)である。マネーの量を操作する中央銀行の金融政策が、一般物価に大きな影響を及ぼす構図がクリアになるだろう。こうしたメカニズムを前提にすると、インフレと称されるガソリンや食料品などの「個別価格の変化」と、「一般物価の変化」とは次元が異なる現象であることもご理解いただけるのではないか?
もちろん、現実の経済やインフレ動向には多くの要因が影響するし、先の天秤の動きですべてが説明できるほど単純ではない面もある。中央銀行の金融政策が、マネーストック総量にどの程度するかなど、議論が分かれる点もある。
だが、天秤が示した、インフレ・デフレという一般物価の変化の本質を踏まえれば、アベノミクスとして掲げられる「第一の矢」である金融政策が、「年収300万円時代到来」などと下がり続けた我々の日本人の年収を含めて、上昇させることがわかるだろう。つまり、インフレが実現することで、我々日本人の生活は楽になるのである。
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