マクドナルドさえなかった田舎で育つ
機械メーカーで営業職として働く浩二さん(仮名)。どこからどう見てもまじめなサラリーマンにしか見えない。取材時は「ボーナスが入ったばかりだ」と語っていた。北陸地方の外れに生まれ、3人兄弟の末っ子。子どもの頃は祖父と祖母の7人家族という、田舎にありがちな家族構成だった。両親は上の2人の育児に疲れたのか、やや放任気味に育てられたと振り返る。
「いちばん上の姉とは8歳も離れているので、親ももう、気合を入れて子育てをしなかったみたいです(笑)。お小遣いは高校に入るまでもらっていませんでした。お年玉や、親戚のおっちゃんがたまに遊びに来た際にもらったお金でやり繰りしていました。でも、なんせ田舎なので、外で虫を追いかけて遊んだりしていて、あまり欲しいものに出合わなかったんですよね。マクドナルドのCMを見て、ハッピーセットのおもちゃが欲しいと思ったくらい。地元にはマクドナルドもなかったので(笑)」
中高時代はサッカー部に入部して練習に明け暮れた。また、高校はサッカーの強豪校であり、部員は全員寮生活を送るルールだった。しかし、土日は帰宅させられ、その際に1週間分のお小遣いとして親に500円をもらった。学校と寮とを行き来するだけでお金を使う機会がないので、寮で出る食事が足りないときのみ、購買で100円のパンを買って食べた。数少ない休みの日には、県庁所在地まで電車で1時間ほどかけて出ていき、貯めていたお年玉で当時流行中の服を買った。
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