「今、月の手取りは21万円です。年収にすると450万円。ただ、最近改めて給与明細を見たら、この年齢でこの年収は少ないのではないかと思えてきたんです。多くの営業職の人たちって、成績に応じて昇給しますよね。
先日、40代の上司が昇格したんです。それで月給も上がるのかと思って聞いてみたら、なんと15円しか上がらなかったそうなんです。そうすると、自分の今後の昇給額も予想できてしまって……」
春には父になるが、不安も大きい
浩二さんは2年前に結婚。結婚式は身内だけで挙げた。現在、生活費はフリーライターとして働く妻と折半しており、「夫婦の財布」はない。結婚しても特にお金に関して変わったことはないという。
「あまり欲しいものとかもないんですよね。車も欲しいと思わないし。家賃は月9万5000円で、妻と折半しているし、カツカツな生活なわけでもないです。レコードが好きなので、レコードやほかに好きなものを買うにしても月2万~3万円くらい。毎月貯金も4万円しています。今の貯金額は350万円くらいです」
現在妻は妊娠7カ月。フリーランスは産休や育休がないので、妻が働けない間、浩二さんが家計を負担することになる。何げなく、「お子さん生まれるの、楽しみですね」と言ってしまったが、浩二さんはこう返してきた。
「多分、男の人って初めての子どもが生まれるぞって段階のとき、ほぼ戸惑いしかないと思うんです。楽しみでしょうがないと思う人って、すごくポジティブな人か、めっちゃアホじゃないかなと。この給料で不安にならない人のほうが少ないのでは……。この世の中、子どもを育てるのに相当なお金がかかるのは目に見えています。アホじゃないと楽しめないですよ」
スーツ姿の浩二さんは一見すると、普通のサラリーマンにしか見えない。脱法ハーブに溺れていた過去があるとは誰も思わないだろう。「そう言えば」と浩二さんは続ける。
「先日、学生時代の友達と久しぶりに飲んだんです。当時、脱法ハーブを楽しんでいたことを包み隠さず話したら、けっこうみんな引いちゃってましたね」
以前、精神科の看護師を取材したことがあったが、数年前までいちばん多かったのが脱法ハーブの依存症患者だったという。幸い、浩二さんは発作や中毒を起こしたり、人に危害を加えたりといった事件は起こしていない。「やめられて本当に良かったですね」と私は彼に告げた。
「普通」に見える人でも過去には過ちがあったり、不安を抱えているのだと思えるインタビューだった。
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