「文系出身」を恥に思う若者に与えたい処方箋

一番大事なのは「普通の人」に寄り添えること

そう考えると、学部が文系か理系かということではなく、勉強をしているなかで、上記のような理系的なリテラシーを鍛えたかどうかということが重要です。

「理系的センス」をもう少しブレイクダウンすると、「世の中の現象を抽象化して捉えて、分析することで一般的な法則を発見する」「そのために、仮説検証を繰り返す(いわゆるPDCA)」という科学的思考と言ってもよいかもしれません。

この科学的思考が重視されるようになってきたのは、インターネットが浸透してリアルな世界がデジタルで表現されるバーチャルな世界に置き換わったり、さまざまなセンサーが発達してデータを数字で取れるようになり分析が可能となったりしたことで、この科学的思考が発揮される分野が実験室から世の中全体に広がったことが要因でしょう。

しかし、「理系的センス」だけでもダメ

さて、冒頭から、悩める20代文系にはつらい話ばかりをしてしまっていますが、これらの「理系的センス」もしくは「科学的思考」が必要であるというのは、オッサン世代の読者の皆様には釈迦に説法かと思いますが、ベースの話です。これからのビジネスにおける基本となることは間違いありません。

しかし、あくまでも「ベース」です。ある程度、理系的用語や数字がわからないとやっていけない時代ではあると思いますので、基礎的なことは学んで「理系の人と言葉が全く通じない」という状況は脱出しなければなりません。

ところが、いくら理系的センスが重要視されてきていると言っても、それだけでもダメです。最近では政府が研究予算を減らすなどしてその地位がどんどん減退しているものの、もともと日本は、基礎研究は強いが、応用が苦手という時代が続いていました。

よく言われるのは、iPhoneの中身は多くが日本製品なのに……という怨嗟の声です。技術的には日本のメーカーがiPhoneを作っても全く不思議ではなかったのに、と。つまり、いわゆる理系的センスを持つ人たちだけがいても、ビジネスとしてはダメかもしれないということです。そして、iPhoneを作ったのはご存知の通り、非エンジニアのスティーブ・ジョブズです。

一説によると、スティーブ・ジョブズは、プログラムもそれほどできず、デザインも自分でできるわけではなかったようです。しかし、ビジネスパートナーであるスティーブ・ウォズニアックのような天才エンジニアや、ほかにも数々の天才的なスペシャリスト(その多くが理系的センスを持つ専門家達)をまとめ上げて、マッキントッシュやiPhoneなどの革命的な製品を作ることができました。

彼は、自分で作ることはできなくとも、最終的に製品を使うことになるユーザーのインターフェイスに徹底的にこだわり(あるいは、そこにしかこだわることができず)、それらの素晴らしい製品を作ったわけです。

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