ブラジル「差別発言大統領」が支持される事情 ブラジルのトランプ、ボルソナロ新大統領
「とにかくPTには入れたくなかった。約14年にわたりブラジルを自分のもののように扱ってきた。PTはもうたくさん。そろそろ新しいブラジルになるべきだ」。アダジ氏に入れなかった理由として同様に答える人が多かった。
いろいろ問題はあるものの、汚職まみれだったPTに比べてボルソナロ氏の方が「マシ」と考える人は多い。低所得者層からも、新しいブラジル、クリーンな政治家を望む声が増えていた。その一方で政治離れがおき、今回は1989年以来、無効票または無投票が28.8%となり、最高を記録した。そのことも少なからず影響していると思われる。
ボルソナロ政権の閣僚4人が元軍関係者
ボルソナロ氏に投票した多くの有権者は、極端な右翼化や軍政に走る可能性は少ないだろうと考えている。実際、大統領選以来、ボルソナロ氏の極端な主張は和らげられ影を潜めてきた。
前述の中小企業経営者も「今回選ばれた閣僚の4人(22人中)が元軍関係者で副大統領も元軍人だが、ブラジルは今では経済大国になっているので、今さら軍制には戻ることはないのではないか。軍自体も同様のことを言っているからその心配はないだろう」と話す。
一方、政治面ではボルソナロ政権では、政府機関の数を29省から最大17省に削減することを明言し、ルラ・ダ・シルバ元大統領を刑務所送りにしたセルジオ・モーロ判事を法務大臣に指名した。また、紛糾している年金制度改革可決を年内に目指すなど活発に動き出した。経済面でも、市場重視の政策に移行することを掲げている。
ただし、「国会でも大部分が野党なので、社会保障改革をしようとしているが、結局は実現できないのではないか」と電気技師の男性(23)は悲観的だ。「社会保障のプログラムを縮小する政策をするようなことを言っているが、そうなれば大部分の国民は経済的に打撃を受け、富裕層や銀行が利益を得ることになり、ますます貧富の差は大きくなるだろう」。
国民の期待を背負って走り出したボルソナロ政権の先行きはいかに。
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