ブラジル「差別発言大統領」が支持される事情

ブラジルのトランプ、ボルソナロ新大統領

景気改善を望む向きは強く、現地紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」が12月に行った調査によると、回答者の65%が今後数カ月間で景気は回復すると期待している。ボルソナロ大統領自身は、経済の専門家ではないものの、シカゴ学派のエコノミストで、ピノチェト政権時代にチリで代務大臣を務めた経験のあるパウロ・ゲデス氏を経済顧問に起用するなどして経済改革に取り組む姿勢を見せている。

ある男子大学生(21)は、「ジルマ大統領時代は、奨学金を途中で切られて辞めなければならない友達もいたけれど、今度の大統領は、軍出身者だし信頼できる。PT党時代よりはるかによくなると思う」と景気回復を期待する。

治安改善も懸案事項の1つだった。非営利団体「ブラジル公安フォーラム」の調査によると、2017年には過去最悪の6万3880人が殺人の被害にあっている。現地紙「ニッケイ新聞」によると、「サンパウロ市では、2014年に強盗・窃盗事件が前年比18%、窃盗殺人が5%増えて以来、つねに高い比率で事件が起きている」。こうした中、ボルソナロ大統領は1日の就任演説で、治安改善に取り組む方針を示した。

差別発言などで要注意人物とみられていた

とはいえ、誰もがもろ手を挙げて新大統領誕生を祝っているわけではない。「ブラジルの命運を左右する時代に突入した」。アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は1月9日、「ブラジルの危なっかしい第一歩」と銘打った社説で、ボルソナロ政権が直面する政治的、経済的な闘いをこう表現した。

そもそも、やはりボルソナロ大統領自身、問題が少なくない人物である。1955年生まれ、サンパウロ州出身の同氏は、22歳でリオ・デ・ジャネイロの陸軍学校を卒業し、28歳で陸軍大尉の階級を取得。軍人の所得が低いことを雑誌に投稿し軍倫理規則の違反で禁固刑を受けたほか、物議を醸す発言などで、陸軍時代から要注意人物としてみられていた。

35歳の時にリオ・デ・ジャネイロの連邦議員に当選し、政治家としてのキャリアをスタートした。2014年の下院選では、約46万票を獲得し、リオ・デ・ジャネイロ州の下院議員でトップ当選するものの、2017年の下院議長選に3度目の立候補をするが落選。ボルソナロ氏は、国民の人気はあるが、その発言の強烈さから議員の支持はほとんどなかった。

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