【産業天気図・鉄鋼】需要激減で減産幅拡大。雲行き悪化は08年度後半から、09年度は豪雨が襲う可能性も

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予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月

雨足は想定以上に早く鉄鋼業界に訪れた。前回(9月)の産業天気図では、2008年度中は何とか好天が持続するものと見ていたが、すでに足元の天候は「曇り」に悪化。09年度に入ると、業界全体を「豪雨」が襲いそうだ。

主需要先のひとつである自動車業界では減産幅が200万台超にまで拡大する見込みだ。家電や建機も減産を強化している。こうした影響は、当然、鉄鋼業界にも及んでいる。国内最大手の新日本製鉄<5401>は、10月末に100万トンとしていた08年10月~09年3月の減産幅を、11月25日に200万トン強まで拡大させると発表。「09年3月末までのユーザーの活動水準、東アジアの輸出水準などから見た数字。さらに悪化すれば減産を強化する」(宗岡正二社長)としており、更なる下振れも懸念される。

ほかの鉄鋼大手も同様に減産幅を拡大(JFEスチール:50万トン→150万トン、住友金属工業<5405>:10万トン→60万トン、神戸製鋼所<5406>:20万トン→60万トン)させており、当初(10月末)の180万トンから足元では470万トン強まで膨らんでいる。

09年度も需要動向が改善する兆しはない。むしろ、需要減退が続くことで販売価格の下落は避けられそうにない。日本鉄鋼連盟発表の鋼材価格指数は、すでに08年8月をピークに漸減している。これは市場流通のいわゆる「店売り」価格の下落によるものだが、09年度は大口ユーザーとの「ひも付き」価格も反落が不可避な状況だ。過去数年に渡って鉄鋼業界を苦しめてきた原料高騰は、鉄鋼需要の減退に伴って、相応の下落となる公算が強いものの、数量減と販価下落の一方で大きな福音となることは期待薄と見られる。特に09年度前半は08年度契約分の高値の原料在庫を払い出す格好となり、利ザヤはかなりの悪化が見込まれる。

ここ数年、新興国需要の拡大によって空前の好況に沸いてきた鉄鋼業界。一方で原料価格上昇も続いていたが、これまでは強い需要を背景に、大半を製品価格に転嫁してくることができた。しかし、状況は一転。需要減と単価下落のダブルパンチで、原料安の恩恵も十分に享受することはかないそうにない。高級鋼シフトを進めることで海外他社との差別化を図ってきた国内鉄鋼大手の実力は、これからの時代にこそ本当の意味で試されることになる。
(猪澤 顕明)

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