「一杯3000円」の微妙なコーヒーが売れる理由 高くても売れる商品には共通点がある

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新宿のカフェでコーヒーを頼もうとしてメニューを開いた瞬間、目がくぎ付けになった。

「コピ・ルアクあります。一杯3000円」

コピ・ルアクは、映画『最高の人生の見つけ方』でもジャック・ニコルソン演じる大富豪が愛飲するコーヒーとして登場した「世界一高い」といわれる伝説のコーヒーである。カフェのメニューで見たのは初めてだ。

ジョークから生まれた高額コーヒー

コーヒー好きの血が騒ぎ、値段のことはいったん忘れて、すぐに注文した。お味は……。正直微妙。独特な香りがするが、500円でもっとおいしいコーヒーはある。実際にコーヒー専門家とコピ・ルアクの話をすると、「ああ、アレねー」と微妙な顔をされることも少なくない。

実はこのコピ・ルアク、ジョークから生まれたものである。

ジョン・マルティネスという人が、高いジャマイカ産ブルーマウンテンを売っていた。しかしお客さんから「ヘイ、ジョン! オタクのコーヒー、高すぎるぜ」と文句を言われたらしい。マルティネスは「ノー! そんな法外なお金は取ってないよ」と知ってもらうために、より高いコピ・ルアクを売り始めたという。彼にとってはジョークのつもりだったのである。

では、なぜおいしいとはいえない、しかも冗談半分で作ったコピ・ルアクが、世界一高価なコーヒーになったのだろうか?

このコピ・ルアク、なんとジャコウネコの糞から取り出したものなのだ。「コーヒー豆」というが実際には「豆」ではなく、果実の「種」である。コーヒーノキという植物の果実から、果肉を取り除いた種の部分がいわゆる「コーヒーの生豆」になる。コーヒー農園では果肉を除き生豆にするために、水洗したり空気乾燥させたりする。

しかしインドネシアのコーヒー農園では、野生のジャコウネコがコーヒーノキの果実を餌として食べてしまう。そして種だけが消化されずに、糞として排泄される。農園でこの糞を丹念に探し出し、きれいに洗浄して乾燥させ、焙煎したのがコピ・ルアクなのだ。

「ジャコウネコの腸内の消化酵素や腸内細菌で生豆が発酵し、独特の香味が加わる」といわれているが、私は正直いっておいしく感じなかったのは、先に書いたとおり。しかし皮肉なことに、一部の顧客から「ジャコウネコの糞から生まれたコーヒー」として希少性を高く評価され、世界で最も高値で取引されるコーヒーとなったのである。

マルティネスの偉業に対して、あのドクター中松も受賞したノーベル賞のパロディー「イグ・ノーベル栄養学賞」が授与されたという。

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