「一杯3000円」の微妙なコーヒーが売れる理由

高くても売れる商品には共通点がある

このような例はほかにも数多くある。現行硬貨コレクターの間では、昭和62年発行の50円玉は、なんと6000円で取引されている。発行枚数が極少で数十万枚に1枚という超レアものだからだ。多くの人たちにとって50円玉は、発行年度に関係なく50円の価値しかない。しかしコレクターにとっては、120倍にもなる6000円の価値があるということだ。

このように、その希少性に価値があるかどうかを決めるのは、あくまでも「買い手」であるお客さんの価値観だ。

お客さんが「希少だ。これは欲しい」と思えば、そのお客さんに売れる。そして希少で、なおかつ世の中の多くの人が求めていれば、渡辺直美のように大ブレークする。しかし数多くの人たちでなくても、ニコルソン演じる大富豪や、現行硬貨コレクターのような人たちがいれば、その人たちには高い値段で売れる。

「どうしても欲しい」と思わせるには

このように商品を高く売るには、世の中に大勢いるお客さんの中で、その商品を本当に必要とするお客さんを見極めて、そのお客さんに「どうしても欲しい」と思う希少価値を提供することだ。そしてそのターゲット以外は、お客さんではない。だから、高く売るためのルールは、極めてシンプルである。

正しいターゲットのお客さんに、正しい価格で売れ!

そのためにはどうすればよいのか。

この「お客さんが必要として、ライバルが提供できない、自社だけの価値」のことを、マーケティングでは「バリュープロポジション」という。

図をご覧いただきたい。

①自社の商品が提供する価値だけでは、お客さんは必ずしも買ってくれない。
②お客さんが求めている価値と重なっていることが必要だ。
③しかし、これだけでもダメだ。競合がその価値を提供できない場合に、お客さんは初めて希少性を感じ、高いお金を払おうと考える。

高い価格で売れるようになるためには、図の濃い部分、「バリュープロポジション」を明確にすることだ。そのためには、顧客視点でお客さんのニーズを徹底的に絞り込むことである。

最近、私はある商品でこのことを実体験した。

わが家で買ったダイソンのヘアドライヤーは、定価4万5000円。ドライヤーとしてはかなり高価だ。世の中のドライヤーは、さまざまな機能を「売り」にしている。しかし風量は大きくない。髪が乾くのに時間がかかるし、熱風は髪を傷めてしまう。

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