10年ぶりの大型再編劇 新日石と新日鉱が統合

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10年ぶりの大型再編劇 新日石と新日鉱が統合

ガソリンなどの国内需要低迷が、石油元売り会社の大型再編劇を実現させた。新日本石油(新日石)と新日鉱ホールディングス(新日鉱HD)は、2009年10月をメドに持ち株会社を設立して統合することを決めた。傘下には石油精製・販売、石油開発、金属事業をそれぞれ手掛ける三つの子会社を置く予定。巨大元売りの統合は1999年に日本石油と三菱石油の合併で新日石が誕生して以来、10年ぶりとなる。

統合の最大の狙いは収益低迷の続く石油精製・販売事業のテコ入れだ。新日石の石油製品部門の08年4~9月期経常損益は、在庫評価影響を除いた「真水」ベースで315億円の赤字計上。新日鉱HDの石油精製・販売事業も同55億円の経常損失となった。

原油高の川下への価格転嫁が想定どおりに進まず採算が悪化。背景には製油所設備過剰やガソリンスタンドの過当競争などの構造的要因がある。07年の原油処理量からはじき出した1日当たり需要は400万バレル程度。これに対して国内製油所の原油処理能力は日量約480万バレルに達する。

自動車販売低迷でガソリンなどの国内需要は今後、一段と落ち込む公算が大きい。構造問題にメスを入れないかぎり、収益力の一段の低下は不可避。ライバルの出光興産は「脅威ではあるが、(供給過剰が是正され)業界全体を良い方向へ進める動き」(比留間孝寿常務)と評価する。

処理能力40万バレル削減

新日石はすでに富山製油所の原油処理停止、大阪製油所の「輸出型」への転換など過剰是正策を打ち出している。両社は各事業会社発足から2年以内に富山・大阪両製油所を含め日量40万バレル以上の処理能力削減を図る方針。岡山・水島には両社が製油所を構えており、削減対象として俎上に乗る可能性が高い。両製油所合計の処理能力は45万F強に達するが、「それだけの能力は必要ない」と新日鉱HDの杉内清信常務は話す。

同時に、両社合計で全国1万3000カ所あまりを数えるスタンドの整理も進める考えだ。石油精製・販売事業で3年以内に最低600億円のコスト削減効果を見込む。

新日鉱HDの現在の収益柱は石油事業ではなく金属事業。銅鉱山開発、銅精錬、IT関連素材製造などを手掛け、08年3月期は実質経常益の約9割を金属事業が稼いだ。

銅鉱山開発はハイリスク・ハイリターンの油・ガス田開発に比べて投資負担が軽く、上流事業のリスク分散効果も見込める。15年度経常利益5000億円を目指す両社。目標達成には石油精製・販売事業の足場を固め、石油開発と金属事業で利益拡大を図る体制作りが欠かせない。

(松崎泰弘 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済)

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