堀江氏の実刑は当然、日本は不正に甘すぎる
不思議なことに、日本では不正行為を働いたホワイトカラーが刑に服すことはまれである。それどころか、元西武の堤義明氏のように投資家に何十万ドルもの損害を与えても、罪を告白し、有罪を認め、懺悔の念を示すという“儀式”を行えば、執行猶予付きで釈放されるのが普通である。それだけに元ライブドアの堀江貴文氏が罪状を否認し、2年半の実刑判決を受けたことには驚かされた。
その後、8回にわたる不正な利益水増しで、日興コーディアルグループには過去最高額の5億円の罰金が科せられたが、誰一人として責任を取らなかったのは、やはりというべきである。
堀江氏は「送検されたのは日本の体制派が挑戦者に対して報復したからだ」と主張するが、これは受け入れがたい。ライブドアは企業買収の資金を調達するために、ライブドアの株価を高く維持しなければならなかった。そのために粉飾決算を行ったのである。したがって堀江氏への判決が厳しすぎるということはなく、むしろライブドア以外の事件において、関与した人々の罪があまりにも軽すぎるほうに問題がある。
むろん、日本では企業の不正行為に対して以前よりも厳しい監査を行うようになっている。2006年に金融庁は金融機関に対して163件の行政処分を行っており、その件数は前年よりも50%も増えた。行政処分の対象となった金融機関の中には、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行などのメガバンクも含まれる。
金融庁は、カネボウの粉飾決算に関与したみすず監査法人を06年7月から2カ月間にわたって業務停止処分にした。また、同監査法人は、日興コーディアルグループの有価証券報告書の虚偽記載にもかかわっていたため、信頼を回復できぬまま、今年、解体されることになる。
規制強化が行われるようになった理由は、不良債権問題にある。この問題が深刻化したのは、当時の大蔵省が実態を覆い隠そうとしたからである。大蔵省は銀行による犯罪的な不正を是認し、時には奨励さえしていた。同じことを繰り返さないようにするために国会は会計法を強化し、金融監督庁(当時)を設置して検査権限を大蔵省から移した。
だが、企業の不正行為は相変わらず続いている。メインバンクや産業再生機構によって救済されたミサワホーム九州は、過去5期にわたって翌期に計上すべき売り上げを前倒し計上するという不正行為を行い、今年1月に上場廃止に追い込まれた。また証券取引等監視委員会は、三洋電機が過年度に粉飾決算を行っていた可能性があるとして調査を始めた。。