今年こそ!企業で広がり見せる「禁煙」支援 ロート製薬は「卒煙ダービー」で後押し

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もともと就業時間内禁煙、敷地内禁煙などの厳しいルールがあったため、喫煙者といってもニコチン依存度はそれほど高くなかったと考えられる。いずれにせよ、孤独に陥りがちな禁煙期間を、周囲の支援を受けながら楽しく乗り切れる方法として興味深い。2019年1月には第2レースの出走が待っている。

かつて喫煙天国のイメージがあった証券会社も変わりつつある。野村ホールディングスもその例に漏れない。

8割以上が禁煙に成功

野村證券健康保険組合でも、2017年から費用補助と禁煙支援プログラム紹介などの取り組みを始めた。受動喫煙問題や臭いなどによる業務への支障に着目し、会社が喫煙室の一部閉鎖などの喫煙対策を開始したのがきっかけだ。

同組合では、オンラインの遠隔禁煙外来方式を活用。「新しい手法で効果がわからなかったので、まずトライアルとして開始した」と播磨俊郎常務理事は言う。

ハイリスク者(特定保健指導対象者〈40歳以上〉で喫煙者)のうち10人が医師の処方する禁煙補助剤を利用、8人がスマートフォンアプリとニコチンパッチを利用し、それぞれ8人、7人が禁煙に成功した。3か月の禁煙外来を最後まで受診するのが約4割といわれる中、これは好成績だ。

遠隔禁煙外来は病院に足を運ばずに済み、時間と場所の制約を大幅に緩和できる。禁煙外来期間終了後も、6か月までフォローを受けられるサービスもある。野村證券人事部長である百枝信二氏も、こうしたプログラムで禁煙に成功した一人だ。

2018年度からは対象を3グループに分けた。第1は全額補助の案内を出すハイリスクグループ。第2は一般社員で、一部自己負担をして遠隔禁煙外来を利用したり、外部の相談窓口を活用したりするグループ。第3グループの対象は20代男性社員だ。

20代男性社員は、学生時代には喫煙習慣がなかったのに、入社後に生活環境の変化やストレスなどから吸い始める人が多い。喫煙率は約40%にも及ぶという。実はこの層への声がけが一番難しい。30代以上なら自分や家族の健康、引っ越しなどのきっかけがあるが、20代では、いずれやめるつもりだとしても今はその気がない、と行動に結びつかないケースが多い。

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