「住宅税制」はなぜこうも複雑・難解なのか 増税に向け抜本的見直しを求める動きもある

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政府が消費増税時に住宅と自動車に負担軽減措置を導入するのは、雇用などの波及効果を含め、国内経済、内需への影響が大きいからだ。住宅業界の場合は、消費増税前の駆け込み需要と、その後の反動減で過去に大変な苦労をしてきた。それは新設住宅着工の推移を見ればわかる。

住宅業界の最上位団体である一社・住宅生産団体連合会(以下、住団連)では、2019年度の重点要望事項として、税制では住宅ローン減税の拡充(延長)、補助としてすまい給付金制度の拡充、住宅エコ・耐震ポイント制度の創設、フラット35Sの拡充 (金利引き下げ期間の延長)をなど要望していた。

自動車に係る税金と比較

2019年度の住宅税制の大枠はほぼこれらが通ったかたちだ。ただ、税制の複雑さ・難解さが解消されたとはいえず、物足りなさは残っているだろう。というのも、要望にあたり「国民から見てわかりやすい対策であること」を求めていたからだ。

同時に「対策が十分な期間、切れ目なく実施されること」も要望していた。住宅ローン減税の延長も、その適用期間が終了すれば住宅需要の減退はもちろんのこと、景気低迷につながりかねないとの懸念があるためだ。

一方、自動車については「自動車の保有に係る税負担を恒久的に引き下げる」とし、2019年10月以後に新車として新規登録を受ける自家用乗用車に対して適用する。引き下げは小型車ほど優遇される。エコカー減税についても適用期限が2年延長される。

なお、自動車(新車)に係る税金は自動車取得税、自動車重量税、自動車税があり、住宅と比べて比較的、単純な税体系だ。負担軽減策も同様でわかりやすい。

このような観点からすれば、同じく内需の柱と目されながらも、住宅より自動車のほうがやや抜本的な景気対策がなされたというイメージがあり、明暗が分かれたとするのはうがった見方だろうか。

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