「住宅税制」はなぜこうも複雑・難解なのか 増税に向け抜本的見直しを求める動きもある

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住宅を売却する際にも、譲渡所得税などの税金がある。住宅については、取得から保有、売却に至るまでさまざまな課税が行われることを頭に入れておいていただきたい。

一方で、住宅取得の負担を軽減する制度は、2018年度では冒頭にあげた住宅ローン減税、贈与税の非課税措置のほか、「すまい給付金」「フラット35S」、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など省エネ住宅への補助が用意されていた。この他にも、自治体による補助もある。

長期間住み続けられる質の高い住宅取得を中心に至れり尽くせりといった状況であるが、このことが住宅税制を複雑にしており、住宅取得者たる国民を混乱させている側面があるということを理解すべきだ。

ちなみに、近年は省エネ改修や長期優良リフォーム、若者の中古住宅購入時のエコリフォームなどへの補助金、「フラット35リノベ」の金利優遇制度など、リフォーム関連の優遇策も充実している。むしろ、新築よりリフォームのほうが手厚いくらいだ。

住宅ローン減税は13年に延長

今後はどうなるのだろうか。住宅に係る消費増税について改めて整理すると、従来の増税時に行われてきたことをベースにすれば、注文住宅の場合は「2019年3月末までの契約」、分譲住宅の場合は「2019年9月末までの引き渡し」であれば消費税は8%に据え置かれることになる。

注文住宅の場合、2019年3月末とされているのは契約から引き渡しまでに通常6カ月ほどかかるので、その分の時間を前倒ししているわけだ。分譲住宅の場合は、建物が完成していることが原則のため、同年9月末が期限となる。

政府は12月21日に「平成31(2019)年度税制改正大綱」を閣議決定した。その基本的な考え方の中で「自動車と住宅に対する税制上の支援策を講ずる」とし、負担軽減策を打ち出している。

住宅については2020年末までに契約し入居したものについては、住宅ローン減税の適用期間を13年(現行は10年)に延長。延長期間は建物価格の2%分を3等分した額と、借入金残高の1%分の金額を比べて少ない方の額が控除される。

このほか、「住宅エコポイント制度」の復活、「すまい給付金」の拡充などによる負担軽減策の導入が有力視されている。それらを含めると、消費増税後に住宅を取得する場合、つまり10%となっても8%適用時よりも住宅取得の負担が軽減される可能性が出てくる。

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