朝だけじゃない「夜の満員電車」改善されたか 各社増発…努力が足りない鉄道会社はどこ?
そんな中、新線以外で大幅に増発したのが京王井の頭線だ。2008年からの10年間で、渋谷駅を21時以降に発車する列車が急行を中心に12本も増えている。中でも24時台は5本から10本へと倍になった。それでも混雑は続いており、特に急行に利用が集中する傾向があるが、夜間の大幅な増発は評価されてよいだろう。
このほかで増発が目立つのは東京メトロの各線だ。過去10年間に夜間の列車を増やしていない路線は皆無。丸ノ内線と銀座線、南北線の赤羽岩淵方面行きは21時~終電の間で7~8本も増えた。
東急も増発している路線ばかりだ。先に挙げた東横線の9本を筆頭に、東京メトロ南北線と直通する目黒線は7本増えた。混雑路線として知られる田園都市線は4本の増発。同線は急行の本数が増えたほか、途中の二子玉川で大井町線からの急行に接続する各駅停車も増えている。
複々線化の小田急は?
一方、今年春に複々線化が完成した小田急は、本数は増えたものの大部分が東京メトロ千代田線からの直通電車で、新宿始発は5本の増発にとどまっている。だが、途中の新百合ヶ丘駅から分岐する多摩線については、夜間の下り急行・快速急行が同駅で多摩線ホームに発着するようになったこともあり、多摩線自体の運行本数は変わらないにもかかわらず「使える本数」は大幅に増えた。
これに対して小田急相模原、相武台前、座間への有効本数は減っている。各駅停車の本数を毎時8本から6本に削ったためだ。せっかく1本早い急行や快速急行で途中の相模大野まで行ったのに、乗り継ぐ各駅停車は後続の急行や快速急行と同じということになっている人も多いのではないだろうか。
私鉄や地下鉄が多くの路線で夜間の列車を増発しているのに対し、JRは京浜東北線の大宮方面行きが3本増えたほかは増発しても1本で、大半の路線がダイヤの面では10年前と変わっていない。
もちろんJRも何もしていないわけではなく、東海道線や横須賀線では、実験的に金曜だけ増発した列車がそのまま平日毎日運行になったケースや、中央線快速のように22時台を減らして23時台を増やすなど、利用に合わせて改正したとみられるケースもある。だが、深夜の輸送サービス強化という点では私鉄や地下鉄のほうが先を行っているようだ。
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